「空気を読む」のがうまい人が、なぜか絶対にやらない「意外なこと」

日本人の空気を読む能力を徹底分析
中野 信子 プロフィール

集団スポーツの体育会系はモテる

それゆえ集団スポーツをしてきた体育会系の人は、個人の意思より集団の意思を優先できる人材とみなされ、いまだに企業でも積極的に採用されたり登用される傾向があるようです。

たしかに集団に属していると、人はその中で生き残ろうと必死に優秀な駒となって働こうとしますから、集団にとっては都合の良い存在でしょう。響きはよくないかもしれませんが、これまでの日本社会の教育は「良き歯車をつくる」ということに重きが置かれていたのです。

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しかしこの「良き歯車をつくる」教育は、時として危険もはらんでいます。なぜなら集団では、思考のスイッチを切るトレーニングがしばしば行われるからです。

このトレーニングの成果が、何も考えず集団のために猛烈に働く、というかたちで出るだけなら問題がないのですが、怖いのは悪いことも何も考えずに行ってしまう危険があることです。

選手はなぜ危険タックルをしてしまったか

少し前に話題になった、日大アメフト部の危険タックル問題を思い出してください。

危険タックルをした選手は、会見で、それが悪いことだとわかっていたけれど、「本当にやらなくてはいけないのだと思い、追い詰められて悩みました」「私自身が『やらない』という判断ができずに、指示に従って反則行為をしてしまったことが原因」と述べています。つまり思考のスイッチを切ってしまったのです。

これはスポーツに限らず、どの集団でも起こりうることです。自分の意思に従う人は集団の調和を乱しかねない存在ですから、矯正する必要があります。

そこで「君はいい選手じゃないね」「会社に貢献していないね」などと圧をかけて思考のスイッチを切らせることで、悪いことをさせる。そうやって集団の意思に従う人間へと育てていくのです。

 

禊といいますか、イニシエーション儀礼といいますか、同じ悪い空気を吸わせることで仲間に取り込む、というやり方ですね。取り込まれる側も、わかっていても「拒否したらこの集団で生きていけなくなる」と空気を読み取り、思考のスイッチを切ることを選択してしまうわけです。