「空気を読む」のがうまい人が、なぜか絶対にやらない「意外なこと」

日本人の空気を読む能力を徹底分析
中野 信子 プロフィール

間違った褒め方が失敗を恐れるエリートを生む

ステレオタイプといえば優等生やエリートを連想させます。

彼らは優秀なわりに何ごとにも挑戦しようとせず、驚くほど保守的な姿勢を見せて周囲を驚かせます。これも、空気を読みすぎるがゆえの行動です。

エリートというのは子どものころから優秀で、褒められて育ってきていることが多いものです。

でもこのとき、努力ではなく結果だけを褒めることは大きなデメリットを生みます。たとえば100点をとった子に「100点とってえらいね」と褒めていると、その子は期待にこたえようと100点をとることばかり考えるようになり、失点のリスクとなる難しい課題にチャレンジしなくなる、という現象が起こります。

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いつも褒められている子は、困難にチャレンジして乗り越える喜びより、失敗する不安のほうが大きくのしかかるようになるのです。場合によっては、100点をとっていないのに「とった」とウソをつくようにもなる人もいます。

日本でイノベーションの芽が枯れる理由

これが何を意味するかというと、エリートは組織のトップに就くことが多いですから、つまり失敗しないようなタスクばかり選ぶことに慣れている人たちが国や社会を動かす確率が高くなる、ということでもあります。

すると、そこでは誰も失敗しませんからますます失敗がしにくい空気になり、新しいことはやりにくくなる。仮に失敗したら、ウソをついて隠そうとする人も出てくるでしょう。

「前例に従う」とか「前例にないからやらない」というのは、エリートにとっては保険であり、最善の策であるというわけなのです。

 

これが、日本には失敗に対して寛容でない空気が充満している理由だと思われます。昨今は「イノベーティブであれ」と言われるようになってきており、実際イノベーションの芽もたくさん出てきます。

ですが残念ながら、それが育つまでに枯れてしまうという空気が、まだまだ厳然と存在しているように感じます。