また、もともと新型コロナウイルス感染に対するPCR検査は感度(感染している人の中で陽性の結果が出る確率)が高くはなく、30〜70%程度といわれている。検査をしてもある程度の「見逃し」が起こるため、陰性と診断されても実は感染していることがある

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もちろん、呼吸困難があるなど、肺炎が明らかに疑われる場合は、適切な環境下で治療を受けるためにも検査が必要だ。重症例は、酸素やステロイドの投与、場合によっては人工呼吸器の装着などの治療を要する。

こうした重症例に適切に対応するためにも、上述したようにPCR検査を広く実施することに政府が躊躇するのは理解できる。ワイドショーではPCR検査の保険適用の必要性が声高に叫ばれており、近く保険適用になる見込みだが、軽症患者が急に増えれば、現在の仕組みでは陽性がわかると入院しなければならないため、医療現場の混乱が予想される。それこそ、「医療崩壊」が起こりかねない。

3. 患者の「ドクターショッピング」が問題

患者の立場からすると、「ひとつの病院で診断がつかなければ、他の病院に行った方がきちんと診断をつけて貰えるのではないか」と思うのではないだろうか。しかし、それは正しくない。新型コロナウイルス感染は、初発症状は普通の風邪と見分けがつきづらく、4日間以上、37.5度の発熱が続くのが受診基準のひとつになっているように、経過を見ないと区別がつきづらく、症状が出て1週間以上してから悪化することもある

一つの医療機関に複数回かかれば、医師も経過から総合的に判断することが可能だが、複数の医療機関を一回ずつ受診してしまうと、一回かぎりの受診では医師も判断が難しいことが多い。現に、ワイドショーに出てくる「検査を断られた」という例は、多くの人が二度、三度と病院を変わり、ドクターショッピングしている。西日本新聞では、熊本で最初にコロナウイルス感染と診断された女性が「検査を断られ病院をたらい回しにされた」という報道がなされたが、その患者自らが病院を3ヶ所受診しているのだ。こうした報道がなされるなかで、診察した医師側の証言がまったく紹介されないことも疑問だ。

複数の病院を受診すると、かえって適切な診断がなされないことがあることを覚えておいたほうがいいだろう。一度受診して「検査できない」と言われても、高熱が続き、後で必要と判断されることもある。