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映画とは何か?『パラサイト』大快挙の意味、ハリウッドの難題

2020年代、映画はどこへ向かうのか

『パラサイト』と『ROMA/ローマ』

2020年2月9日に開催された第92回アカデミー賞は、長年に亘る歴史に新たな1頁を加える夜となった。韓国人監督であるポン・ジュノの『パラサイト』が、作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の4冠に輝いたからだ。

特に、外国語映画が作品賞を獲得したのは、12回目のノミネートで始めての実現だった。控えめに言っても「快挙」であり、映画史に残る一幕となった。

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だが、この外国語映画の作品賞受賞については、いつ実現するのか、という期待感があったのも確かなことだ。なぜなら、昨年の第91回アカデミー賞でも、アルフォンソ・キュアロン監督によるスペイン語映画の『ROMA/ローマ』が作品賞の候補に挙がっていたからだ。

だが、キュアロンにとっては残念なことに、前回の作品賞は‎『グリーンブック』が受賞した。いまだ黒人差別が残る1960年代を舞台に、黒人のクラシック・ピアニストがアメリカ南部に公演ツアーに向かい、その移動の際の運転手をイタリア系の白人が務める、というプロットの作品だ。人種間の軋轢や友愛を扱ったもので、「ダイバーシティ(多様性)」や「インクルージョン(包摂性)」への関心が高まる時流を反映した受賞だった。

キュアロンの場合、『ゼロ・グラビティ』ですでに監督賞を受賞していたので、その分、受賞のハードルが高くなっても仕方がないところはある。だが、それ以上に昨年、議論を呼んだのは、『ROMA/ローマ』の公開が映画館ではなくNetflixで行われていたことであり、それを果たして映画と呼んでいいのかどうか、という根本的な疑問を引き起こした。このことについては、作品賞ノミネートの時点ですでに問題視されており、たとえばスティーブン・スピルバーグなどは、映画館での上映を重視する論陣をはっていた。

 

Netflixで公開の映画である点では、マーティン・スコセッシ監督の『アイリッシュマン』も同じで、『パラサイト』同様、今年の作品賞候補にノミネートされたものの受賞には至らなかった。昨年の『ROMA/ローマ』のことを考えれば、「配信映画」よりも「外国語映画」のほうが、まずは「拡大された映画」としてハリウッドに認められたことになる。