AIはどこまで人間に近づくのか――人工知能が「創造性」を持つまで

【特別対談】栗原聡×河合莞爾
現代ビジネス編集部

河合:それで「創作活動」という、人間ならではの行動に興味を持たれた。

栗原:はい。今回、キオクシア(旧東芝メモリ)さんと手塚プロさんから、手塚先生の新作をAIに描かせたいという壮大なお話を頂きまして。

たまたまウチの研究室にいる院生の一人が「小説を創る人工知能」というのを研究していたんですね。好きなラノベが完結してしまったので、何とかして続きが読めないかと考えたらしいんですが(笑)。この技術が応用できるいいチャンスなんじゃないかと思い、お受けすることにしました。

河合:一口に創作と言っても、文章や絵画や映像などいろいろありますが、今回「漫画」をAIに創作させるにあたって、どのような難しさがありましたか?

栗原:AIにとっては、油絵など様々な創作プロジェクトの中で漫画が一番難しいかもしれませんね。写真のような絵を描かせるのは今や簡単なんですが、漫画のような感性豊かな絵は難しいんです。しかも「動きが見えるような静止画」でなければならない。それに日本の漫画には多彩なオノマトペ※1も使用されています。このような漫画を、しかも商用レベルの完成度で実現する必要がありました。

河合:大変なことを成し遂げられたんですね。

自律型ロボットは実現可能か

河合:でも、先生のご著書※2にあった言葉をお借りすれば、今回のプロジェクトはまだ「自動」段階であって、「自律」段階、つまりAIが自分から創作する段階には至っていないんですよね?

栗原:ええ、そこまではまだ。ロボットと聞いて皆さんが思い浮かべる鉄腕アトムやドラえもん、ターミネーターは全て自律型ですし、河合さんのジャンヌも究極の自律型ロボットです。でも、自律的に行動するAIまたはロボットはいつか出てくるでしょうし、私も現在のAIをそこまで高めていきたいと思っています。

 

河合:じゃあ、いつか漫画や小説を「面白い!」と思うAIや、「自分も創作したい!」と意識的に創作を始めるAIが作れると?

栗原:作れると思います。AIは日本語では人工知能ですが、他にも人工ダイヤ、人工心臓、人工降雪機といった「人工」が付くものがありますよね。これらは全て「人間が作ったもの」という意味で、人間はダイヤや心臓や降雪の仕組みがわかれば、それが作れるんです。つまり、創作できるような知能とは何なのか、その仕組みをちゃんと設計できれば、新しい人工知能が作れるはずです。

※1 オノマトペ(仏:onomatopee):音象徴語。擬音語、擬声語、擬態語などのこと
※2『AI兵器と未来社会 キラーロボットの正体』(朝日新書)

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