写真提供/TEZUKA2020

AIはどこまで人間に近づくのか――人工知能が「創造性」を持つまで

【特別対談】栗原聡×河合莞爾

「2020年、もしも、手塚治虫が生きていたら、どんな未来を描くだろう?」というコンセプトのもとに生まれたプロジェクト「TEZUKA2020」。この驚愕の試みによって、AIと人間による新作マンガが漫画雑誌「モーニング」誌上で発表された。そのタイトルは『ぱいどん』。いみじくも、死を目前にしたソクラテスと弟子のプラトンが「魂の不死」について対話した記録『パイドン』と同じなのだが――。

「創作するAI」を開発したのは、人工知能の権威・栗原聡教授。『ぱいどん』では、AIによるプロット生成やキャラクター画生成などに携わった。その栗原聡教授と、最新作『ジャンヌ』(祥伝社)で殺人を行う自律行動ロボットの出現を書いた小説家・河合莞爾が、AIと人間との未来について語り合った。

撮影/神谷美寛

栗原聡氏(左)、河合莞爾氏
栗原 聡(くりはら・さとし)
1965年東京都生まれ。慶應義塾大学理工学部教授。NTT研究所、大阪大学、電気通信大学(在籍中に国立大学初となる人工知能研究センターを設立させた)を経て、2018年より現職。人工知能学会倫理委員会アドバイザーなども務めるAI界の権威。著書に『AI兵器と未来社会 キラーロボットの正体』(朝日新書)など多数
河合莞爾(かわい・かんじ)
熊本県生まれ。作家、編集者。2012年に角川書店(現カドカワ)の「横溝正史ミステリ大賞」で大賞を受賞してデビュー。「水木しげる漫画大全集」(講談社)の編集にも参加。代表作に『デッドマン』(KADOKAWA)、『800年後に会いにいく』(幻冬舎)、『ジャンヌ』(祥伝社)など多数

そもそもは「人間」を造りたかった

河合莞爾(以下、河合):今日は栗原先生の学生になったつもりで、AIについて教えて頂くために参りました。よろしくお願いします。

栗原聡(以下、栗原):こちらこそ。私も河合さんの『ジャンヌ』を読ませて頂きましたが、AIとロボット三原則をこのように解釈して来たかと唸らされ、「これは深い!」と感嘆しました。

河合:畏れ多いご感想、どうもありがとうございます。今回先生が「TEZUKA2020」に参加されたのは、どういう経緯からですか?

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『ぱいどん』より 画像提供/TEZUKA2020
 

栗原:元々私の研究テーマは「まだこの世に存在していない高い汎用性と自律性を持つAIを造る」ということだったんです。AIだけではなくハードウェアも含めて、人間に極めて近いロボットですね。「人間らしいAI」を造りたかった、と言ってもいいかもしれません。

「手塚治虫」の「塚」の字は旧字が正式表記です