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# 終末期医療

「死ぬ場所」がない! すでに現実化した都市型多死社会のリスク

やまと診療所が問う「看取り難民」危機

病院で死ねない!「多死社会」の真実

2019年度の出産数が初めて90万人割れした一方で、年間の死亡者数はおよそ140万人。20年前と比べて50万人近くも増加した。いわゆる「多死社会」は加速している。2035年前後のピーク時には、年間死者数が170万人以上に及ぶ。年間の死者数はいまよりも30万人以上増えることになる。

現在、病院で亡くなる人が約8割、他は自宅、介護施設等で臨死期を迎える。国は膨らむばかりの医療費を前に、これ以上の病床の増加は抑える方針だ。近い将来、病院で死のうと思っても、ベッド数が足りないという事態が起こる。

さらに、国は2018年の医療費改定で、地域の中小病院や関連施設の入院患者を自宅か老人ホーム等、医療機関ではないところに返すルールを促している。病院のベッド数の増加が見込めないこと、医療施設の入院患者に対してのルールが厳しくなったことで現在、2割弱程度の“自宅での看取り”の数を、将来的に増やそうというわけだ。

「看取り難民」はどうしたら……

その一方で、どこで死ねばいいのか。臨死期を迎える場所が見つからない、そんな「看取り難民」が近い将来激増し、社会問題化すると危ぶむ声が上がっている。

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看取り難民の実態とは何か。

在宅医療の最前線で、850名以上の患者の在宅の医療を担い、年間460件以上の看取りに携わる、やまと診療所(板橋区)の安井佑院長は、「ゾンビのように、街中を歩きまわっているというイメージではないのですが」と、ちょっと口元を崩すと、シビアな目をこちらに向ける。