フランスでは「宿題」を出すことが禁じられている、その深すぎるワケ

小学校の説明会に参加してびっくり

「宿題は必須ではありません」

私はフランス・パリに暮らしている。昨年9月に子供がフランスの小学校に入学した。

入学直前には担任の先生による説明会が開催された。小学校はそれまで子供が通っていた幼稚園と同じ敷地内にある。とはいえ小学生になれば読み書きの練習が本格化し、それまでのお遊戯にかわって「勉強」が始まる。親としても緊張感があった。

担任の先生は、1日の流れや読み書き、算数の教え方などの説明をした後、「ちなみに私は毎日『筆記の宿題』を出します」とどこか特別なことでも宣言するかのように言った。そして「ただし筆記の宿題は必須ではありません。やらなくても大丈夫です」と続けた。

そう。驚くべきことに、フランスでは筆記の宿題が小学校に関しては法律で禁じられているのだ。しかもなんと1956年から。ちなみに禁じられているのは「筆記」の宿題だ。その日に学校で学んだ箇所を再読するといった宿題は認められている。

いったいなぜフランスの法律は、筆記の宿題を禁止しているのだろうか。法律で禁止されるということはつまり、宿題が社会に対して何らかの形で悪影響を与えるという認識があるはずだ。歴史と現状を調べてみると、そこには意外な理由があった。

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なぜ宿題が禁止されたか

1912年、初めて宿題が禁止されたのはオート=マルヌ県の学区だった。その理由は3つ。(1)子供の過労のリスクを回避するため、(2)学校外で勉強をする際の環境が一般的に悪いものであるため、(3)教師たちは宿題の添削よりも優先するべきことがあるため。

 

1956年には、個別に行う筆記の勉強について学校の時間内で週に5時間を設けることが決まると同時に、家での筆記の宿題が禁止された。この法律が特に強調したのは、学校外で行う筆記の宿題の不必要さだった。学校外という先生がいない場は、学習環境(道具や精神状態)が整っていなケースが多く見受けられるため、その教育的な意味が極めて限定的だというわけだ。

この法律によって、家ではなく、学校の時間内で筆記の勉強をすることの大切さが強調された。