防衛大学校が「悪しき体育会系」の総本山になっているヤバい実態

海外の軍関係者にも呆れられている
松岡 久蔵 プロフィール

パワハラ体質の発生源になっている

体育会的な組織は、内部の人間関係がうまくいっているうちは非常に快適で円滑に運営できるかもしれない。しかし裏を返せば、そこで形成された「疑似家族」的な共同体から逃れられず、自衛隊や防衛省に入ったのちも学生時代の上下関係を引きずることになる。

防衛大出身の防衛省幹部はこう内情を話す。

「学生舎生活で培われた人間関係は絶対で、往々にして階級を超えてしまうこともあります。出身クラブの先輩には敬礼しても、指導官には敬礼しないことも珍しくありません。体育会の秩序を叩き込むばかりで、プロの軍人としての見識を身につけさせることに失敗しているのではないか、と感じます。

そのせいか、陸自では一方的に怒鳴りつけたりするなど、典型的な体育会スタイルで部下に接する上官も少なくありません。報道されたものだけでも、たとえば2015年に1等陸佐(当時)が連日のように部下を『バカ、ボケ』『目障りだ』などと罵ったり、机を蹴ったりして、約10人のうち2人を精神的に追い込んだ事例があります。

この1佐は事件について上司に報告せず、さらに彼の上司も、定期的なアンケートなどから問題を知っていたにもかかわらず指導を怠っていたとして処分を受けている。組織的にパワハラを隠蔽する体質があることはおわかりいただけると思います。結局、この部下のうちの1人は自殺しました。

根深いのは、この1佐は更迭された次のポストでもパワハラを続けたという点です。異動先の部署はセクハラやパワハラをはたらいた高級幹部のたまり場となっており、防衛省内では『セリーグ』『パリーグ』と揶揄される始末。ここでも1佐は懲りずに若手へのパワハラを続け、また精神を病む部下を出してしまいました。

 

こうした事案が起こるたび、自衛隊全体で組織体質を改善しよう、というかけ声ばかり上がりますが、根本は何ら変わっていない。パワハラ体質の上司がのさばる一方で、良識があってマネジメントができる幹部はどんどん脇に追いやられている。あまりにパワハラ処分案件が多すぎて懲戒処分が順番待ちになっているほどで、将来が危惧されます」

蔓延するパワハラを容認してしまう自衛隊の体質の根本に、防衛大でつくられる閉鎖的な人間関係がある、と考える隊員は少なくない。