防衛大学校が「悪しき体育会系」の総本山になっているヤバい実態

海外の軍関係者にも呆れられている
松岡 久蔵 プロフィール

過剰に重視される「体育会活動」

防衛大学校ではおよそ2000人の学生が、人文社会系3学科、理工学系11学科で学ぶ。学生は授業料を免除されるだけでなく、全寮制で制服や食事の支給を受けられ、さらに月々11万円の手当を受け取ることができる。

しかし、防衛大の内情に詳しい前出と別の自衛隊幹部は「『仮にも士官学校なのに、ここまで居眠りばかりしているのはこの学校だけだ』と何度も(留学生の)送り出し国から言われたことがある」と話し、実態についてこう指摘する。

「私が問題視しているのは、教育内容の偏りです。現場や研究開発で必要な工学系の教育は手厚いものの、安全保障をはじめ、指揮官に求められる人文社会科学系の教育が不十分。これは日本の大学一般に言えることですが、やはり理系教育偏重で、『安全保障とは何か』『戦争とは何か』といった理論になると、あまり真面目に取り組まなくてもいいという雰囲気になり、結果的に大局観が身につかない。

学校側もレポートを適当に書いて出せばそれで単位を与えてしまいますから、士官学校で軍事理論やリベラルアーツをしっかりと叩き込まれた欧米のエリート軍人にかなうはずがありません。事実、海外の軍の士官同士のパーティーで、教養が求められる話題になると、日本勢がサッと引くのが当たり前の光景になっています」

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防衛大の教育の柱は、教育訓練、学生舎生活、校友会の3つだ。教育訓練は学問と文字通り訓練を指し、学生舎生活はいわゆる寄宿舎生活、校友会はクラブ活動である。先の自衛隊幹部は、防衛大の中では、過剰なまでに校友会活動が重視されると話す。

「校友会は基本的にアメフトなどの体育会活動で、成果が出やすいので学校側も奨励するという構造があります。国際水準の論文を数本書くよりも、全国1位の選手やチームを輩出した方がいい、と。ただ問題は、これが学業より優先されていること。外部の教育機関に出たり、海外留学して初めて『図書館で勉強してる学生を初めて見た』という防大生もいるほどです。

 

学生舎生活がその風潮に拍車をかけています。要するに、先輩とはいえ子供が子供を指導するわけですから、たまたま面倒見のいい先輩がいればましですが、幼稚な先輩の下についた下級生は悲惨です。上からの命令は絶対ですし、8人部屋で共同生活する以上、人間関係が広がらず閉鎖的なまま。このグローバル化の時代に合ったかたちでの『人格の鍛錬』ができる状況とは思えません」

つまりは、「体育会系」の悪しき部分が凝縮された教育機関になってしまっているのだ。