瞬く間に日本各地へ拡がった新型コロナウイルス。水際対策が失敗した以上、感染経路を辿り、拡散を止めなければならないが、その道のりも終わりが見えない。県庁や保健所の職員が目の当たりにした現実とは……発売中の『週刊現代』が特集する。
2月17日、愛知県名古屋市にあるショッピングモール「イオンタウン熱田千年」の利用客は困惑の表情を浮かべていた。2階にある「イオンスポーツクラブ3FIT」に掲示された「お客さまへのお知らせ」を見てのことだ。
「2/16(日)、名古屋市熱田区保健センターからの連絡により、新型コロナウイルス感染症に感染された方が当施設をご利用していたことがわかりました。
この連絡を受け、(中略)感染された方が、ご利用された箇所を重点的に清掃消毒を実施しております」
日本のみならず世界中を脅かし、増加の一途を辿る新型コロナウイルスの感染者。重篤な状態になるまで、咳などの症状が出ない場合もあり、抗生物質は効かない。
まさに「21世紀のペスト」とも呼べるウイルス感染の拡大を食い止めるため、地道に感染ルートの調査を続ける人たちがいる。
感染ルートの特定を急ぐ「特命チーム」を結成しているのは、名古屋市の健康福祉局、そして各区の保健センター職員だ。愛知県でも、2月25日までに計20人の感染が確認されている。
調査の結果、割り出された場所のひとつが冒頭のスポーツクラブだった。
彼らは新たな患者の治療の合間に、現在の症状や過去の渡航歴と併せて、潜伏期間とされる2週間ぶんの「行動履歴」を聞いていく。乗った電車、勤務先に到着した時刻、立ち寄ったコンビニ――。
そこにいた誰もが、「濃厚接触者」となりうる。聞き取りは詳細かつ長時間におよぶ。