家族だからこその自責。
その思いをあえて伝え続けたい

その後、浩美さんはがんを知ることから始め、きちんとした情報を学び直した。また、夫の哲也さんと一緒に、医療者にもあまり認知されてこなかったスキルス胃がんを広く知ってもらうために、患者、家族の会である認定NPO法人『希望の会』を立ち上げた。3年前哲也さんを看取った後は、浩美さんが代表を引き継いでいる。

哲也さんとともに作った患者、家族の会『希望の会』。写真/轟浩美

浩美さんは、哲也さんが亡くなってから“私が頑張らないと!”と会の運営に奮闘した。しかし、「心は悲しみで溢れて壊れそうで、家ではずっと泣いていました」というのが真実だった。さらに、その心に追い打ちをかけたのは、浩美さんのSNSへの反応だった。

「夫が亡くなってから、SNSでちょっと笑ったり、会の活動で元気そうな写真を投稿するたび、バッシングされてしまいました。そして少し時が経つと、“いつまでも泣いていてウザイ”“被害者意識が強い”と書きこまれてしまって……」

自分が死んだらみんなは許してくれるのかな、という気持ちにまで、追い詰められてしまったこともあったという。

「ふっ切れたのは、“これで本当に成仏しました”と三回忌にお坊様からのお言葉を聞いた瞬間でした。私たちの戦いは終わったんだ、と思えました。そして、これまで私のモチベーションをぎりぎり保てていたのは、夫の母の存在でした。

義母は息子を亡くしたことに衝撃受け、“私が丈夫な体に産めなかったからだ”と、ずっと責めていましたから、これ以上母を悲しませてはいけないと。義母にとって、夫と始めた『希望の会』で活動をする私の姿が唯一の支えになっています。私も義母がいるからここまでこれたと思っています。

やはり最愛の家族を失うことは想像以上に理性を失わせます。がんになったら、ではなく事前にどういう情報があるのか、どこに行けば正しい情報が入手できるのか、知っておいて欲しいと思うのです。自分に後悔があるからこそ、そういったメッセージを伝えていきたいと思っています」