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日本のエリートが「社会貢献」から撤退している…驚きの事実

日本にノブレス・オブリージュはあるか

日本の高所得層や経営層などいわゆる「エリート」が、だんだんと社会貢献をしなくなっている――。いったいそれはなぜなのか。 “日本版ノブレス・オブリージュ”の現在を、龍谷大学専任講師で『ボランティアを生みだすもの――利他の計量社会学』の著者である三谷はるよ氏が解説する。

日本の「ボランティア」の四半世紀

2020年夏、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催される。8万人の大会ボランティアの募集に対し、最終的には20万4680人もの応募があった*1。「10日以上を基本」とすることや、「交通費1日あたり一律1000円」といった条件にもかかわらず、募集人数を大幅に上回る人々がボランティアに名乗り出た。

五輪期間中は炎天下での活動になることや、とくに地方在住者には多額の出費になることが予想される。それでもこれだけの応募者が集まったという事実に、人々の五輪への関心の高さとボランティア熱をうかがい知ることができる。

東京五輪公式ウェブサイトより引用

かつて「ボランティア」は、一部の社会福祉の専門家や実践家のみが知る言葉であった。それが一般の人々にも使われるようになったのは、阪神・淡路大震災からだといわれる。震災は甚大な被害をもたらした一方で、「ボランティア」という身近な社会貢献のあり方を多くの人々が知るきっかけとなった。その意味で1995年は、日本の「ボランティア元年」と呼ばれている。

 

その後もナホトカ号重油流出事故(1997年)、中越地震(2004年)、東日本大震災(2011年)…など数々の災害に見舞われる中、被災地で汗を流すボランティアの姿は当たり前の光景になった。1998年にはNPO法が成立し、組織として継続的に活動できる環境も整えられてきた。今や被災地だけでなく、多様な現場でボランティアは欠かせない存在となっている。