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みずほ佐藤会長の告白「銀行員の『終身雇用・年功序列』はもう終わる」

人間にしかできない仕事は残る。ただ…
小野 一起 プロフィール

日本にとっての「10のビッグクエスチョン」とは

佐藤  確かに現時点ではそうです。ただ、もっとずっと先のテクノロジーの進歩について考察することも重要です。

よくAIが人間の能力を超えるかどうかが議論されますが、ある一面では、すでにAIは人間を超えていますよ。AIが感情を持ち、自分より優れたAIを自分で作り出し、無限の成長を繰り返すような時代が、いずれは来るでしょう。その時に、今の人類をどう存続させるのかが問題です。

例えばAIを組み込んだロボット兵器が生まれたら人類に危機が訪れます。人類の未来を見据えて今、何をなすべきなのか。政治家にも実業家にも、それが問われています。AIは、所詮はデータがなければ動きません。どんなデータを収集して何を目指すのかをしっかり考えないといけません。

〔photo〕iStock

小野 結局、自動車の自動運転の開発でも最大の難所は、トロッコ問題(人を助けるために他の人を犠牲にすることが許されるかを問う思考実験)だと言われています。最後は、人間の価値観が問われているわけです。

佐藤 物理学者のホーキングは著作『ビッグ・クエスチョン』(NHK出版)で、人類にとって大切な大きな問いを10問立てています。

それにならって僕も、日本にとっての10のビッグクエスチョンが何なのか考えてみました。1つ目は、中国とアメリカの覇権争いに象徴される国家資本主義対自由民主主義です。2つ目は日本の外交政策、アメリカと中国のどちらにどう軸足を置くのかですね。3つ目は、産業の4隅のどこかを取れるか。産業の4隅が何かは、のちほど、じっくりお話します。4つ目は、足元の3大課題、社会保障と少子高齢化、将来のエネルギー構成をどうするのかというエネルギー政策について、です。

5つ目は、金融クライシスの可能性です 。これは、どこから来るか。世界中の企業の借り入れの総額は、2.3京円だとされています。歴史が始まって以来、最大の膨大な借金の中にわれわれはいるわけです。

 

小野 ハラリは、人類をここまで発展させたのは、人類が協力関係を構築、分業が可能になったからで、それを支えたのは互いの認識を共有可能にするフィクションの存在だと指摘しています。お金も、そのフィクションの一つでしょう。

お金は、相手が敵だろうが、どんなに嫌いだろうが、受け取り可能で、通用性を持ちます。そして、金融の仕組みは、借金を可能にして、ビジネスを発展させるテコの役割を果たし、人類の歴史に貢献してきました。しかし、膨張した金融が逆回転した時に、経済に壊滅的な打撃を与えます。最近ではリーマン・ショックが、そのことを我々に教えてくれました。さらに、新型コロナウィルスが世界中の株式市場を激しく揺さぶりました。市場の混乱に、金融の持つテコの原理が拍車をかけていることは見逃せません。

佐藤 その通りですね。この大きく開いた借金の口を閉じないと、どこかで必ず危機的な状況が訪れます。

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