アルツハイマー病ってどんな病気? 正しく知って進行させない対策を

認知機能を高レベルで保つのがポイント
からだとこころ編集部 プロフィール

〈MRI画像診断で問題なし〉の1年後に認知症?!

「頭の中がもやもやするとか、ど忘ればかりして俺も歳だ……といつもぼやいているので、母と一緒につきそって、近所の病院で検査してもらうことにしたんです」と話すのは、80代の父親を持つAさん。

さっそくAさんは、近所のクリニックにお父さんを連れていき、脳のMRI検査を受けてもらいました。

「その時は、〈少々萎縮があるものの、年相応ですよ。認知症ではないですね〉と言われて、ホッとしたんです」

検査の結果、医師から認知症の可能性は少ないと説明を受け、Aさんは一安心しました。しかし……。

「その後も、何度も同じ話をするようになってきたんです。でも、先生もああおっしゃったことだし、まぁ、これも年齢的なものだろう、と思っていたんです。ところが、さすがにこんなことがあると、本当に大丈夫かなと思って……」

なんと、お父さんは出かけた先で、停めた自分の車を駐車場で見つけられなくなってしまい、長い時間かけて歩いて帰ってきたのでした。最初の検査から1年ほど経ったころのことです。

「母と相談して、もう一度同じ病院を受診したんです。そしたら、今度はアルツハイマー型認知症という診断でした。ほんの1年前に年相応で問題ないと言われたのに、〈認知症だ〉なんて。私も母も、途方に暮れてしまいました」

【写真】年齢相応ですよ、と言われたのに…
  年齢相応ですよ、という医師の一言に安心したが…… photo by gettyimages

Aさん親子のように、検査で脳に病的な萎縮はないと言われたので安心した、という方も多いようです。しかし、アルツハイマー病によって、脳が萎縮し、それがCT画像やMRI画像で診断できるのは、アルツハイマー病がある程度進行した段階です。早期の段階では画像でも萎縮は認められません。

脳が萎縮していないといっても、安心はできないのです。

また、認知症を早期に発見するために、脳ドックを受けているという人もいるかと思います。しかし、脳ドックはMRI検査によるものが一般的で、この場合はアルツハイマー病の早期発見はできません

早期の段階でしっかりした診断を受けるためには、CTやMRIといった画像検査のほか、脳血流検査(SPECT)、心理テスト、より詳しく調べるにはアミロイドPET検査などを受ける必要があり、そのためには専門の医療機関で受診することが望ましいでしょう。

原因は複数にわたる

アルツハイマー病は、なにか1つの原因で生じるものではありません。さまざまな要因が重なり、互いに影響し合うことで少しずつ脳に病変が生じ、広がっていくのです。

脳の病変を生じさせると考えられるおもな要因

加齢
加齢とともに発症・進行しやすくなる。誰しも生きている限り避けられない因子
生活習慣
食事や運動、睡眠など、生活習慣のあり方が、発病、発症、進行に深く関わる
持病
身体的な病気、うつ病などが認知機能に影響する
遺伝的な要因
特定の遺伝子が発症を高める報告があるが、こうした遺伝子の有無だけが発症を決めるわけではない

アルツハイマー型認知症を発症する危険要因として遺伝的因子が話題になることがありますが、遺伝的因子を抱えていれば必ず発症するというわけでもなく、逆に遺伝的因子がないので発症しないとも言い切れません。

今からでも改善できる生活要因や、長生きするほど増す加齢の影響の方が大きいと考えられます。