旅作家・歩りえこさんは水原希子さん出演でドラマ化された『ブラを捨て旅に出よう』の原案者。FRaU webの連載「世界94カ国で出会った男たち」では、歩さんが世界94カ国をひとり旅したときに出会った印象深い男性について綴っています。

前回の記事で、誕生日当日に超お金持ちの投資家の彼にシンガポールに呼ばれて行くも一人ぼっちにされたエピソードをお伝えしました。実はその日、別の男性とのアナザーストーリーがあったのです。今回は、歩さんにその男性との出会いから別れまでを綴っていただきました。

彼に数時間放置された誕生日。
私を救ってくれた男性との出会い

私の誕生日当日、シンガポールの金持ち投資家エリックにほったらかしにされている時にスタバで知り合ったシンガポール人男性がいた。これから一人でどうしよう?観光でもしようかな……?と予定を考えているときに「少しお話しませんか?」と声をかけられたのだ。

相手にするつもりはなかったが、顔を見るとエリックよりも何十倍もタイプだった。そして、声が凄く綺麗で身だしなみも美しく、パッと見全てが整っている。髪もサラサラ、肌もツルツル……こんな清潔感の塊みたいな男性はなかなかいない。

思いがけずに出会ったその爽やかな男性の名はブライアン。スタバのソイラテを飲みながら5分ほど会話をした。そのとき電話番号を聞かれたのだが、初対面の人に電話番号を教えたくない私……。少しまごついていると、男性はLINEのIDを紙に書いて私に渡し、言った。

「今から仕事のミーティングがあって、もう行かないといけない。でも、どうしても君にまた会いたいから今夜時間があれば会ってくれるかい?車でどこへでも迎えにいくよ」

どこへでも迎えにいく……』このフレーズ…素敵やん(笑)。エリックに放置されていた私の心に、この言葉はグッと刺さった。

シンガポールが誇る名門ホテル「ラッフルズ・ホテル」。写真提供/歩りえこ

しばらくしてホテルに戻ると悪びれる様子もなくエリックが現れ、一緒に食事へ行ったのだが、その後また放置された私。誕生日当日なのに……。何の連絡もなしに4時間見知らぬ場所に待たせたままにして放置する?

あまりに酷い扱いに大粒の涙がボロボロこぼれてきた。私、何してるんだろう? 全く大事にされてないじゃん……。その時、ふと思い出した。昼間スタバで会った爽やかなシンガポール人男性、ブライアンから渡されたLINEのIDだ。

あまりの悲しさに衝動的になったのか、気づいたらブライアンに「今から迎えに来て」と連絡をしていた。すると、『5分だけ待ってて!すぐに迎えに行くから!』本当に5分ぴったりで彼は車に乗って現れた。

見知らぬ場所で4時間も待っていた私は心細くて、まるでカボチャの馬車に乗って現れた王子様のように……颯爽と現れたブライアンに胸が締め付けられるようにギュッとなって涙がどんどん溢れてきた

今日出会ったばかりの男性の車に2人きりは普段なら躊躇するだろう。でも誕生日は女性にとって特別。延々と見知らぬ土地で待たされるよりも、素敵だと思える男性と特別な時間を過ごしたかった。それにブライアンの清潔感とよどみのない綺麗な瞳に安心感を覚えてしまったのだ。

下心や良からぬことを企んでいる男性は眼球がちょこまか動くことが多い。ブライアンは私の目を真っすぐ見続けて視線をそらそうとしない。この人ならきっと大丈夫。