1月26日、神戸ノエビアスタジアムに整列する神戸製鋼(左)、新日鐵釜石(右)のレジェンドラガーマンたち。中央で挨拶するのは、釜石OBの森重隆日本ラグビーフットボール協会会長

釜石・神戸の復興に尽くしてきた伝説のラガーマンたちの感動の軌跡

還暦越えのV7戦士たちが神戸で再戦

新日鐵釜石と神戸製鋼。共にラグビー日本選手権で7連覇を飾った伝説のチームだ。この2チームのホームタウンは、平成日本を襲った2度の大震災で大きな被害を被った。

阪神・淡路大震災から25年、東日本大震災から9年、愛するホームタウンの復興のために力を尽くしてきたV7戦士たちも、多くが還暦を越えた。そんなオールドボーイズたちが、今年1月、久しぶりにラグビージャージに袖を通して神戸のスタジアムに集結した。

 

寡黙な北の鉄人vs.変幻自在のスター軍団

1月26日、日曜日。神戸市のノエビアスタジアムは満員の観衆で埋まっていた。

ラグビートップリーグの神戸製鋼コベルコスティーラーズ対サントリーサンゴリアスの試合が行われるのだ。昨季は優勝をかけてファイナルを戦った両チームがぶつかる好カードに、地元・神戸のファンだけでなく、サントリーのサポーターも、ニュートラルなラグビーファンも、全国から駆けつけた。

サントリーには松島幸太朗、中村亮土、神戸製鋼にはラファエレティモシー、山中亮平などラグビーワールドカップでの日本代表の躍進に大きく貢献したメンバーがいた。神戸の元オールブラックスの司令塔ダン・カーターなど、世界に名を轟かせたレジェンドも名を連ねていた。

スタジアムには2万6312人のファンが集結した。その多くは、試合が始まる2時間も前からスタンドに陣取っていた。

彼らが早々にスタジアム入りしたのには、特別な理由があった。

試合開始までまだ2時間近くある11時過ぎ、ピッチに現れたのは、ちょっと筋肉の落ちた中高年のラガーマンたち。彼らが姿を現すと同時に、スタンドからは熱い、どこか潤みも含んだ拍手と歓声が贈られた。

彼らは、神戸製鋼と新日鐵釜石のオールドボーイズーーOBたちだった。

彼らはかつて、日本のラグビー界の頂点に君臨した伝説の男たちだった。

試合前に整列した往年の名選手たち(赤いジャージが神戸製鋼、紺が新日鐵釜石)

新日鐵釜石は、1978年度から1984年度までの7年間、ラグビー社会人大会と日本選手権に7連覇を飾った。

寒い北の町でひたむきな練習を積み重ねたチームは、年末になると東北本線の寝台列車に揺られて上京し、都会の強豪チーム、スター選手揃いの大学チームをひねり倒しては、さっと北国へ帰っていった。メディアにも滅多に登場せず、黙々とひたむきなプレーを遂行する彼らは「寡黙な北の鉄人」と呼ばれた。

新日鐵釜石が連覇を終えたあと、入れ替わるように頂点に君臨したのが神戸製鋼だった。

こちらは、「ミスターラグビー」と呼ばれた平尾誠二をはじめ、大学ラグビーで活躍したスター選手が並び、自由闊達、変幻自在のラグビーを練り上げ、対戦相手を翻弄した。決め事にとらわれない、即興演奏のようなアドリブで強敵を打ち倒していく姿にファンは酔った。

ふたつのチームはともに、燃えさかる溶鉱炉の炎にちなんだ赤いジャージーを着て、ピッチを駆け、ボールをつなぎ、芝の上を制圧した。そして2つのチームは、違うキーワードも共有することになった。