新型コロナで大打撃、これから中国経済を襲う「最悪シナリオ」の中身

ショッキングな数字は出る。しかし…
大槻 奈那 プロフィール

中国大手金融機関も油断できない「信用不安」

良いニュースは、SARSの頃に比べて、中国の不良債権は、10分の1以下になっていることだ(図表3-1)。資本も、このところ、年間約30~50兆円ずつ増加している。年間の銀行の利益は、かつては日本の銀行と大差がなかったのが、今や邦銀の10倍以上となっている(図表3-2)。邦銀全体の利益を中国の銀行業界は1か月で稼ぐという勢いだ。

このため、仮に、今回の5.5兆円の緊急支援が全額不良債権化しても、年間利益の2割弱程度の損失計上に過ぎない。

但し、もちろん、金融機関間のギャップは大きい。昨年11月に中国人民銀行が発表した「金融安定報告(Financial Stability Report)」では、中国の4379金融機関のうち、13%に当たる587の金融機関が「高リスク」と判断された(図表4)。

これらの高リスク金融機関の事業規模は小さいと推定される。このため、万一これらの587の金融機関が全て経営難に陥ったとしても、金融システム全体に与える影響は十分コントロールできるレベルだ。

しかし、これは、市場が冷静だった場合だ。

 

もし、これらの金融機関に取り付け騒動などが起これば、影響は、中リスク程度と診断された2000行以上の金融機関にも信用不安が飛び火する可能性もありうる。もちろん、これはメインシナリオではないが、現時点では排除できないシナリオである。