自宅にいるとダラダラ、
過食などの甘えが出現

しかし、在宅の運動不足は想像以上に深刻だ。私自身、テレワーカーの在宅勤務だが、運動不足は長年身にしみている。出版社への通勤経験もあるが、在宅時と通勤時と比べると、在宅時は確実に体重が増加するのだ。恥ずかしながら在宅になって半年で8kgも太ってしまったことがある

在宅の場合、タイムスケジュールをたて朝から計画的に仕事をしようと思っても、他者の目がないとどうしても甘えが出てしまう。デスクワークで疲れたり、煮詰まったりすると、ソファーにゴロリ。小腹が減ればお菓子の袋を開いて、しばしテレビを見ながらムシャムシャ。気づくと、こんな時間! と焦って仕事に戻る。終業時間も自己管理なので、気づくと夜中まで座りっぱなし。今日は1歩も外に出なかったな、という日もある。歩いたのは、ベッドルームとリビングをウロウロした程度。万歩計をつけて数値を測ったことがあったが、驚異の280歩という日もあった。明らかに不健康だ。私が大食いで、自己管理力が低いことは認めるが、私以外にも運動不足や体重増加を嘆く、自宅作業の同業者は少なくない。

午前中は集中していてもダラけるとこんな感じ。在宅あるあるだ。photo/iStock

「パーソナルトレーニングを希望される方も、在宅やフリーランスが多いですね。みなさん運動不足を自覚されると、はじめはスポーツクラブに入会されます。でも、入会しても、まぁいっかとなってしまい、途中でパーソナルトレーニングに変更する方は多い。

最近は、意識的に体を動かす方も徐々に増えていますが、自分で計画をたてて積極的に運動できる方はまだまだ少数派。多くの人は、そこまでストイックではなく、運動不足に流れがちです。テレワークには利点もありますが、意識的に動かないと確実に運動不足になることも同時に伝えていかないとさまざまな問題が発生すると思いますね」と中野さんは警告する。

もともと運動不足状態が、
テレワークでより加速!?

2017年に厚生労働省が発表した『国民健康・栄養調査』によると、運動習慣がある人(週2回以上、1回30分以上の運動をすること)の割合は、男性に比べ女性のほうが低い。ランニングやヨガが人気を集め、美尻ケアに励む女子が話題を集めたりするが、そうは言っても20代女性で11.6%、30代で14.3%、40代で16.1%しか、定期的に運動をしている人はいないのだ。

「でも、運動不足に危機感を感じている女性は多い。以前私が出した『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』という本の市場を調査したら、購入者の6割以上が女性でした。みなさん、危機感は持たれているのに、忙しい時間の中で、どう運動時間を確保し、どんな運動をすればいいかわからず悩んでいる方が多い。もともと運動不足状態+このどう運動していいかわからない状態で、テレワークが導入されてしまえば、残念ながら多くの人が極端な運動不足に傾くでしょう」(中野さん)

通勤など日常の活動量も低下すると、体重増加だけでなく、筋肉量が低下する。生活習慣病や要支援・要介護(寝たきり)の大きな原因とも言われるロコモティブシンドロームの予備軍にもなってしまうのだ。「そんな、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)は高齢者の問題でしょ」と思うかもしれないが、実はそうではない。人間の筋肉量は、20~30代をピークに、下半身を中心に低下していく。30代以降は、年間およそ1%低下するという研究もあるのだ。

今、寝たきりになっている高齢者は、戦中戦後を経験し、今よりも不便な日常の中で活動量が多い生活をしていた。便利になり子供の頃から日常の活動量が激減している私たち。テレワークだけでなく、買い物だってネットで頼めば1歩も歩かずに届く。掃除もロボット任せ、となれば活動量も低下し、筋肉への負荷もない。筋肉低下速度は、私たちの想定以上に早く進んでいるに違いないのだ。