武蔵小杉の水害タワマン「復旧費用の負担をどうするか」という大問題

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現実的な話として、自然災害を被った一軒家やマンションが、自治体に個別で補償を受けるケースはほとんどない。住宅ジャーナリストの榊淳司氏は言う。

「自然災害での被害は、よほどのことがない限り、誰かの責任を問うことは難しい。特に、マンション設備の修理費用や防災対策に対して、行政がカネを出すなんてことはあり得ないと思います」

管理組合加入の保険では費用を賄いきれない。行政やデベロッパーから補償金を受けられる確率はかなり低い。そうなるとやはり、住民みんなが納得する上での「自己負担」を議論していくしかないだろう。

不公平より悪平等

だが、600戸を超える巨大レジデンスで、そもそも「平等」など成立するのだろうか。マンション管理士の日下部理絵氏は言う。

「居住者全員が使わない共用部分について、平等な負担を求めることは非常に難しいと思います。

たとえば、機械式駐車場の修理費用を修繕積立金から捻出した場合も、車を使っていない人からすれば不平等です。積立金は、車の有無にかかわらず、住んでいる部屋の平米数に応じて支払っているわけですから」

居住者全員が使っているとは限らない共用部分は、他にもある。駐輪場や宅配ボックス、屋上のBS放送アンテナがその一例だ。パークシティ武蔵小杉のようなタワマンの場合、シアタールームや専用ラウンジ、スパ施設なども挙げられる。

イメージ写真(iStock)
 

設備を使う人たちだけで修理費を負担して済むなら話は単純だ。だが、何が「平等」なのか不明瞭なマンションではそう簡単に割り切れない。

「一般的なマンションでよく言われるのが、老朽化したエレベーターの問題です。エレベーターを利用しない1階の住人も、エレベーター修繕費を含んだ積立金を支払ったり、故障するたび修理費用を平等負担する取り決めになっているケースがほとんどです」(日下部氏)

1階の人からすれば、エレベーターが壊れていても、日常生活に支障はない。したがって、なぜ費用を負担しなければならないのかと、管理組合でトラブルになるケースも起こっている。