マンション売却でトクする「仲介会社との駆け引き」まさかの方法

業者ナシでマンション売却体験記(7)
大原 みはる プロフィール

強気の値付けで戦うには?

(3)直近の類似物件の取引事例・坪単価の情報

上で触れた現在販売中のライバル物件の情報がまさに現在進行形の話だとすれば、こちらは過去の話である。売主として実際に値付けを行う際は、やはり自分のマンションや近隣物件の中古取引事例(取引1件ごとの物件スペック及び成約価格・坪単価)を見て参考にしたいものである。「おうちダイレクト」では、AIによる価格推定を行う際に類似物件の取引事例を参考にしているのだろうが、個別の取引データを見せてくれるわけではない。

一方、一括査定に応じる仲介業者では、不動産会社ならアクセスできる「レインズ」というデータベースから取り出した過去の取引事例を、簡易査定の段階で送ってくることもある。訪問査定時に「貴社の査定の根拠は何ですか。類似物件の直近取引事例と成約価格を見せてほしい」といえば、おそらく見せてくれるはずだ。AIの推定値もよいが、まずは実績値で足場を固めることも必要である。

(4)自物件の強み・弱点の評価

後出しで恐縮だが、実は筆者が売却した部屋は、バルコニーに出ると別のマンションとお見合いになってしまう位置にあり、日当たりと眺望に難があると自分では思っていた。新築分譲時は売れ残りを嫌うデベロッパーの方針で、こうした部屋は周囲の部屋と比べて少し安い価格設定となっているのが普通であり、中古売却時もこの不利を加味した価格設定が必要かと当初は考えていた。

ところが、訪問査定にやってきた営業員にその点をぶつけてみると、どの営業員からもそうした点は気にならず、値付けへの影響は小さいし、買主もそこまで気にしないだろうという感想をもらった。こういう話は実際の取引事例を見ているプロの意見が一番参考になる。

のちに「セルフ売却」で売り出す際、その意見を参考にして強気の値付けを行ってみたところ、この指摘はズバリ当たった。(3)で入手していた同じマンションの過去の中古取引事例を比較したが、売却時の坪単価は当家より日当たり・眺望に優れた部屋とほとんど変わらなかったのだ。

 

このように、一般的な仲介業者には、「おうちダイレクト」では決して得られない情報がかなりあることがお分かりいただけただろうか。こうした情報収集の目的を端的に言えば、「実際に我が家を売りに出した時に、どのように評価されるのか(どの程度の価格帯で、買い手候補からどれくらい引きがあるのか)を知ること」である。