医師の警告…新型コロナ「軽症・無症状でうつす人」が増加の危険性

今後は「感染を拡げない努力」が必要だ
押谷 仁 プロフィール

しかし、このような感染は空気感染とは異なり遠くの人が感染することはなく、近距離(1-2m以内)でしか感染が起きないと考えられている。新型コロナウイルスでこのような感染が起きているという科学的エビデンスはないが、一部の感染者は上気道から非常に多くのウイルスを排出しており、そのような人では、例外的にこのような感染が起きている可能性も否定できない。

十分な対策をしていたはずのクルーズ船内で作業にあたった係員や、医療従事者などの感染が見られていること、咳やくしゃみなどの症状がない人でも他の人に感染させている可能性があることなどは、このような感染経路があることを示唆するデータである。

 

軽症の人も「うつさない努力」を

これまで大多数の人たちは「自分が感染しないためにはどうすればいいか」ということを主に考えてきたはずである。政府やメディアも安心材料を提供するために、個人の防御についての情報を多く出していたように思う。

これまではそれでもよかったが、国内で感染者が増えてきている現在、そうした個人防御の情報を提供するだけでは明らかに不十分である。手洗いやマスクがこのウイルスの感染をどの程度防げるかについては、実はよくわかっていない。しかし、個人が確実にこのウイルスの流行をコントロールすることに貢献できることがある。

それは感染している人、および感染している可能性のある人が他の人に感染させないように、最大限の努力をすることである。

多くの人は感染しても重症化することなく治癒する。しかしその人から感染連鎖が始まってしまうと、その先に数百人の感染者が生まれてしまうかもしれない。その中には確実に重症化する人がでてくる。もしかすると亡くなる人がでてくるかもしれない。私は、そういう想像力を持つことがこのウイルスとの戦いには必要だと考えている。