迅速な情報公開と説明が必要

クルーズ船について当初から指摘されていたのは、情報の公開が少なく、また遅いことだ。検疫中、「海外のメディアが批判」という記事が繰り返し書かれたが、「ニューヨークタイムズ」などが問題視していたのも、主にこの点である。岩田教授も、当初日本の対策を評価していたが、クルーズ船の情報公開が少ないことで対応への不信感を募らせた。

このような緊急事態では、まずは速やかに情報公開をすることが必要だ。国内外の専門家、メディアが不信感を募らせると、それが結果として現場の士気低下や混乱にもつながりかねない。また、情報公開がなされることで、専門家や他の組織、外国などの助力も得られやすくなる

「がんばったから仕方ない」にならないために

厚労省は、当初下船した職員に対し検査をせず、そのまま仕事を継続させる予定だったようだが、改めて41人の職員を検査し、2週間は自宅勤務にすると22日に発表した。このように省庁の対応は現場の慌ただしさを優先して一貫性を欠き、危機感も十分ではなく、混乱しているように見える。

加藤勝信厚労相〔PHOTO〕Getty Images

今回のクルーズ船対応で非常に問題だと思ったのは、厚労省の幹部や内閣官房職員が感染していることだ。そのような事態であれば、首相などの要人も感染リスクがゼロではないだろう。省庁のトップや首相への感染、省庁の中での流行が万が一起これば、国の機能が麻痺し、国民の安全はますます危険にさらされる。

筆者は複数のルートを通して、厚労省の現場職員がいかに不眠不休で命を削って対応しているかを聞いている。現場の人たちの努力には敬服するし、だからこそ報われて欲しいと思う。ただでさえ、彼らは平常時から「強制労働省」と呼ばれるように、限られた人員で長時間労働をしている。平常時にそのような状態であれば、危機が迫ったときにパンクするのは目に見えている。平常時における働き方や人員の見直しが必要だろう。また、厚労省の幹部が乗船したこと自体も、危機管理として問題ではないだろうか。