下船の判断は適切だったのか

2月21日までの3日間のあいだに、隔離対象を除く970人が下船し、公共交通機関を使用して帰宅した。クルーズ船乗客のうち、すでに海外へ帰宅した人々の中で続々と感染が判明していたが、日本人の下船した乗客にも、ついに感染者が出たことが2月22日に発表された。また、厚労省の職員や内閣官房の職員の感染、DMAT(災害派遣医療チーム)として派遣された医療従事者たちにも確認されている。下船後の発症は、今後も続々と報告されるのではないだろうか

下船の許可および、船内での感染対策に「ある程度の根拠があった」という厚労省の根拠として引用されているのが国立感染症研究所(以下、感染研)のデータだ(下図参照)。

国立感染症研究所のHPより
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同データでは、検疫を開始した6日以降に検査の結果陽性であった151名についての発症日と日ごとに人数を示している。発症者はピークに達した7日を境に減少に転じ、2月15日にはゼロになっていることがわかる。この数字から、大量感染は検疫が始まった前に起こり、検疫後の二次感染は乗船者には発生していないと捉えたのだろう。

大筋としては正しいかも知れない。しかし、本当に乗船者の新しい感染が発生していないのであれば、なぜ厚労省や内閣官房の職員が「新しく」感染するのか。また、なぜ下船後の22日に発症者が出ているのか。乗船者の23人に検査漏れがあったことも22日に明らかになっているので、厚労省や感染研には、適切な説明が求められるだろう。

感染研が公開しているデータの対象人数が少ないことも気になる。2月18日時点で陽性だと判明している人が531人いる中、検疫が始まった6日以降で発症日が確定しているのは151人だけだ。陽性だが発症はしていない255人は感染確定後に下船しているが、下船後に発症していたとしても、このデータには含まれていない。この無症状の陽性者については検査の日付も明らかにされていないし、陰性者についてはそもそも言及されていない。検査が陰性でも感染している人もいる可能性について検討されていないのだ。今回提示されたデータは非常に限定的で、検疫後の二次感染を否定する根拠にするのは難しいのではないだろうか。

感染研はすみやかに全症例の検査日を確定し、今後のさらなるデータ開示、解析をするべきだろう。