火星に取り残された宇宙飛行士がなんとか生き延びようと奮闘するSF映画「オデッセイ」を久しぶりに見た。火星の風景のリアルさと、ジャガイモを育てるマッド・デイモンのおちゃめさがたまらない、お気に入りの映画だ。
この映画を最初に見たとき、マッド・デイモンを救出しようとするも万策尽きたNASAを中国の宇宙機関が助ける、という構図が新鮮だった。現在の国際情勢ではなかなか考えづらい状況だが、映画の舞台である近未来ならあり得るのかもしれない。
言うまでもなく、惑星探査は長い間、アメリカとロシア(ソ連)、そして日本、ヨーロッパ(欧州宇宙機関)など、数少ない特定の国を中心に進んできた。
しかし最近ではアジアを中心に、惑星探査に参入する国が増えている。
インドは2013年にアジアの国で初めて、火星を周回する軌道に探査機を送っている。中国は2013年には月に探査機を着陸させ、今年7月には火星着陸機を打ち上げる予定だ。
そして今年、この波が中東にも届きそうだ。アラブ首長国連邦(UAE)が今年7月に、火星探査機の打ち上げを予定しているからだ。惑星探査機の打ち上げはUAEだけでなく、アラブ諸国でも初めてだ。
ドバイにあるムハンマド・ビン・ラシード宇宙センターでは2月18日に、UAEの火星探査機「HOPE」に最後の部品が取り付けられた。その作業には、UAEのムハンマド・ビン・ラシード首相が立ち会ったという。
أثناء زيارة مركز محمد بن راشد للفضاء ... وضعنا مع مهندسينا الإماراتيين القطعة الأخيرة في مسبار الأمل ... سيقطع ٥٠٠ مليون كم بداية من يوليو القادم .. إنجازنا الأكبر مهندسينا وأبناؤنا الذين راكموا معارف ضخمة في تكنولوجيا الفضاء .. وأضافوها لمسيرة الدولة العلمية pic.twitter.com/8JxxoJWR7v
— HH Sheikh Mohammed (@HHShkMohd) February 18, 2020
UAEは2015年にアメリカのコロラド大学と火星探査計画のためのパートナーシップを締結し、HOPEは同大学で開発が進められてきた。今月UAEに輸送されたHOPEは、テストや準備のプロセスをへて、7月に日本から打ち上げられる。火星に到着する2021年はUAEの建国50周年にあたる。
火星に到達した後は、火星周回軌道上から火星大気を1年(地球の2年)にわたって観測することで、火星の気候の全体像を解き明かすことを目指している。