中学受験で生じる担任の負担

中学受験は、小学校の先生を鍛えてくれる側面があるともいえます。が、「調査票」という受験先に提出する内申書の作成は教師にとっては大変な作業です。

ある年は、クラスの半数以上が受験しました。「いやあ、マジか~」と苦笑いするしかありません。多くの私立は通知表のコピーでよいのですが、都立や国立、一部の私立は手書きの調査票が必要になります。調査票の内容がどれほどの割合で合否にかかわってくるかは、中学ごとに差があります。

教師の仕事は多い。もちろん子どもたちのために頑張るのだけれど、担任ひとりに責任もかかる手書きの調査票は時間的にも身体的にも負担にもなるだろう Photo by iStock

例えば、高校受験のときは中学校が内申書を作りますね。中学の場合は内申点がわからないと志望校を決められませんから、内申書はあらかじめ親子に見せます。その際、同じ市や区のなかで、中学ごとで、あそこの中学は内申が甘いとか、厳しいといったアンバランスな状況になってはいけないので、市や区ごとに成績調整が入ります。つまり、基準を揃えるわけです。

ところが、小学校はその「成績調整」がありません。よって、学校長が目を通すものの、執筆する担任の主観が大きくなります。依頼するときに菓子折りを添える保護者もいましたが、絶対受け取りません。

通知表の評価に対して、保護者も厳しい目を向けてきます。気持ちはわかるので、僕はあらかじめ「算数はテストの点で通知表の点を出すよ」とか、「国語と社会は、課題や作文の内容を反映するよ」と子どもたちにあらかじめ伝えました。事前に評価の基準を明確にしていないと、保護者のほうが「なぜこの点数ですか?」と問い合わせてきます。納得してもらえるよう、準備しておかなくてはいけません。

「中学受験」の背景にある学校での現状をみなで共有できると、受験によるピリピリした雰囲気はだいぶやわらぎ、むしろ受験をする子どもたちにも、しない子どもたちにも、良い影響を与えられるのではないでしょうか。

中学受験をする子としない子、そこに分断をさせず、一緒に健やかに成長する。それを考えるのは、しようがしまいが「子どもを主役」と担任が考えるか否かにかかってくる。保護者や子どもたちも、担任が負荷をふくめて子どもたちを考えていることを理解するだろう Photo by iStock

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構成・文/島沢優子