新型コロナ発生源と疑われる中国「野生動物食」の知られざる実態

これぞ人類の伝統文化
北村 豊 プロフィール

ここまでやる「中国の悪食」

さて、中国には「禁菜(禁じられた料理)」と呼ばれる特殊な料理がある。珍しいものは高級であり、めったにない度合いが高ければ貴重な物として高い評価を受ける。それは料理でも同様だが、貴重な物を入手するのは容易ではなく、時には非常に残酷なものとなるのは必然か。

しかも、こうした貴重な料理は客人をもてなす際に供されるのが通例である。中東では客人をもてなす際に羊の丸焼きを準備するが、貴重品である羊の目玉と脳みそは客人に提供される。そうした文化を持たない日本人には目玉や脳みそを食べるのは残酷に思えて辟易するのが通常だが、この難関を通過しないと本当の信頼を勝ち取ることはできない。

 

そこで、「野味」に関連する「禁菜」を4例紹介すると下記の通り。

【例1】鉄板甲魚(鉄板スッポン)
調味料入りの冷たいスープを入れた鍋に生きたスッポンを投入して弱火で煮る。鍋の中は徐々に熱くなり、スッポンは鍋の中でもがき苦しむが、人はそれを見て興奮する。熱さに七転八倒するスッポンはスープを飲み、それによって調味料がスッポンの体内に染み込む。こうしてできたスッポンの姿煮は肉の中まで調味料が染み込み、極めて美味となる。

【例2】三吱児(3回ちゅうと鳴く子供)<別名:三叫鼠(3回鳴くネズミ)>
「吱」という漢字はネズミなどが「ちゅう」と鳴く声を表す。出生直後の生きている子ネズミを何匹も皿に載せ、もう1つの皿に液体の調味料を入れておく。1匹の子ネズミを箸でつまむと、子ネズミは「ちゅう」と最初の鳴き声を上げる。そこで子ネズミを液体の調味料の中に漬けると、子ネズミは「ちゅう」と2回目の鳴き声を上げる。調味料に漬けた子ネズミを口の中へ入れると、子ネズミは「ちゅう」と3回目の鳴き声を上げる。料理名は前後3回の鳴き声に由来するが、この料理は何でも食べるという貪欲な動機と比類なき勇気を持っていないと味わうことはできないと言われているので、度胸試しの意味合いを持つ。

【例3】炭烤乳羊 
出産直前の母羊を活きたまま炭火の上に載せてゆっくり丸焼きにする。焼きあがったらその腹を切り開いて羊の赤ん坊を取り出して、これを食べる。羊の赤ん坊は皮の歯触りが良く、肉が柔らかく、味は絶品だという。

【例4】澆驢肉 (ロバ肉に熱湯をふりかける)
生きているロバを固定し、その横で湯を沸かしておく。客がロバの好みの部位を指定すると、コックがその部位の皮を剥ぎ、剥き出しになった肉に木製の柄杓で熱湯をかける。それを何回か繰り返すと肉が煮えて食べ頃になるので、コックはそれを切り取って客に提供する。この料理はロバ肉を食べるよりも、ロバの苦しむ姿を見るためのものである。

上記は残酷な料理ばかりだが、いずれも庶民を対象にしたものではなく、金持ちが道楽で楽しんだり、客をもてなすために趣向を凝らして生み出された料理だと言える。

動物愛護の観点から言えば、全く容認できない料理ばかりだが、こうした料理を好む変わった嗜好の持ち主がいるのも事実であり、法律で規制したり、禁じたとしても、彼らは法の抜け道を探して己の欲求を満足させるのが常である。

それはさておき、すでに述べた事柄を総合して考えると、華南海鮮市場の「野味」が武漢肺炎の発生源であるという話は流言飛語(口づてに伝わる、根拠のない情報)のそしりを免れない「戯言(たわごと)」と言って良いように思えてならないのだが、果たして、その真相はいかに。

真相の究明は前回のSARSでもうやむやのままで終わったが、今回のSARS-CoV-2でも前回と同様にうやむやで終わるのか。それでは進歩は何も望めない。