新型コロナ発生源と疑われる中国「野生動物食」の知られざる実態

これぞ人類の伝統文化
北村 豊 プロフィール

人類の歴史と共にある野生動物食

ところで、フランス通信社のニュースサイト(AFPBB)は2月16日付で「ウイルス懸念のコウモリ肉、市場で売買続く インドネシア」と題する記事を配信した。

この記事によれば、インドネシアのスラウェシ(Sulawesi)島北東部のトモホン(Tomohon)に所在する野生動物市場では、新型コロナウイルスを恐れる当局からの販売中止要請を無視して、今もコウモリやネズミ、ヘビなどが売買されていて、販売業者の商売は繁盛しているという。記事に添付された動画には屋台の上に並べられて販売される大型のコウモリやバーナーで焼かれる蛇肉が映っていた。

 

インドネシアも中国と同様に野生動物を食べる習慣は古い昔から伝えられた来た伝統であり、一朝一夕に変えられない文化と言える。中国では2002~03年のSARS発生でSARSウイルスの元凶とされた「野味」という文化が消滅するとか思われたが、「野味」文化はしぶとく生き残り、武漢市の華南海鮮市場でも「野味」商店は存続していたのである。

17~18年前のSARSの時も、今回のSARS-CoV-2 でも、真っ先にウイルスの発生源として疑われるのは「野味」の原料となる野生動物であるが、それらを捕獲や養殖した上で食材として食べるのは人間であり、犠牲者として食べられる野生動物には何の罪もない。ましてや、彼ら野生動物は数千年・数万年の歴史の中で人間によって捕獲されて食べられて来た歴史があり、野生動物を食材として食べることは世界各国で固有の文化となっていると言っても過言ではない。

上述したインドネシアのトモホンにある野生動物市場も武漢の華南海鮮市場内の「野味」商店もそうした古い文化を伝承しているものであり、そうした市場で購入した野営動物を食べたことで感染症を発症したという前例は皆無に近かったのではないだろうか。もしも感染症が度々発生していたなら、野生動物市場も「野味」商店もとっくの昔に消滅していたはずである。中国ではSARSの後も「野味」商店は存続していたではないか。