政治家一族のルーツを遡る
「女系」という言葉を記述すると、昨今ではどうしても、2019年5月1日に皇太子徳仁親王が第126代天皇に即位されて「令和」時代がスタートしたことで、改めて天皇家の皇位継承問題に国民の関心が集まり、天皇・皇后両陛下の長女である愛子内親王と、皇嗣の秋篠宮文仁親王の長男である悠仁親王の存在から、改めて「女性・女系天皇」に目が向かうようになった。
本稿は、有力政治家の華麗な家系を語る際によく使われた「門閥」や「閨閥」といった言葉が意味する巷の受け止め方ではなく、その政治家一族(ファミリー)のルーツを遡ることで、「現在の保守政治」の内実をより深く理解する一助になることを期待するものだ。
取り上げるのは安倍(岸)、麻生(吉田)、小泉の三家。

先ず、小泉純一郎元首相の小泉家だ。又次郎→純也→純一郎→進次郎と、代議士稼業が4代続く小泉家を見る時に看過すべきでないのは、(1)純也氏が又次郎氏の娘婿である(2)進次郎氏の事実上の母親代わりが純一郎氏の長姉・道子さんであった――ことである。
戦前の立憲民政党の衆院議員だった小泉又次郎氏は浜口雄幸内閣で逓信相を務め、同党幹事長時代に産業振興の観点から官業の非効率を批判する演説を行っている。今流に言えば、「郵政民営化」を唱えたに等しく、純一郎首相が乾坤一擲の「郵政解散」を決断したことを想起できる。遺伝子(DNA)はきちんと孫に引き継がれたのである。
進次郎環境相・滝川クリステル夫妻が1月17日に誕生した長男に「道之助」と命名したことは、小泉家をよく知る関係者には得心がいくものだった。進次郎氏は1歳の時に父・純一郎氏が離婚し、母親代わりの道子さんに育てられた。幼少時には道子さんを「ママ」と呼んでいたことは本人が認めるところだ。それだけではない。純一郎氏の国会事務所の「金庫番」は三姉・信子さんであったことも周知の通り。2人の姉に頭が上がらない関係であったのだ。