治療法は?

もししこりが乳腺腫瘍だった場合、基本的には外科手術が第一選択となる。
犬の場合は、腫瘍の周辺のみ皮膚ごと取り除く方法でも効果があるとされている。

しかし猫の場合は、しこりを見つけて動物病院に行った時点で、すでに4割近くが転移しているという報告がある(文献4)。よって猫の場合は、丸くくり抜くような手術ではなく、乳腺片側切除という方法で手術する方が再発しにくいと言われている(文献3)
文字通り、右か左、どちらかの乳腺を1列丸ごと一気に取ってしまうという手術だ。可能であれば、転移している可能性の高い周辺のリンパ節もその際にとってしまうことが好ましい。

当然この方法だと、手術跡はかなり大きくなる。そして場合によっては、この手術を、期間をあけて左右両方行う必要がある。
大手術だ。正直手術直後の傷は痛々しい。しかし、思い切って全ての乳腺を取り切ることで、猫の寿命は伸びる

 

猫の皮膚はよく伸びるため、しばらくすると今まで通り、飛んだり跳ねたり、走り回ることができる。お腹の毛が生え揃えば、傷跡もじきに目立たなくなるだろう。

実は我が家で飼っている猫も、過去に両側の乳腺を全摘出する手術を行なっている。
事情があり、片方ずつ手術をする余裕がなく、一度で全摘出を行なったため、傷が完全に治るのに数ヵ月かかってしまった。しかし、手術から1年以上が経った今では、家中の誰よりも元気に部屋を飛んだり跳ねたりして身軽に動き回っている。お腹の毛も生えそろい、傷跡もほとんど目立たなくなった。

最近では術後服と呼ばれる専用の服もあるので、傷がかわいそうで見ていられない、という方にはぜひおすすめだ。

術後服を着た片川家の愛猫のがんもちゃん 写真提供/片川優子

犬や猫は、人間の寿命に換算すると1年で4歳ほど歳を取ると考えられている。
偶然しこりが発見され、「手術です」と言われて、動揺しない飼い主はいないだろう。しかし、例えばそのまま放置して約2年が経ったとすると、愛犬や愛猫の体は10歳ほど歳を取ってしまったことになる。

犬や猫も、人間と同様、歳をとれば取るほど、手術時の麻酔リスクは上がり、術後の回復も遅くなる。また、乳腺腫瘍も大きくなればなるほど、手術時間も延長し、術後の傷も大きくなる。
手術を提案された時、「かわいそう」という気持ちだけで拒否をせず、まずは獣医師とよく話し合ってみて欲しい。

乳腺腫瘍は飼い主が見つける病気

未避妊のペット、なかでも猫にとって、乳癌は命に関わるとても恐ろしい病気である。
愛猫が長生きできるかどうかは、いかに早期発見できるかが大事になる。そしてこの病気は、飼い主が見つける病気といっても過言ではない。

片川家の愛猫てんむすちゃん。「ピンクリボン運動」ならぬ「キャットリボン運動」では、認識や早期発見の大切さをキャンペーンしている 写真提供/片川優子

普段から愛犬愛猫の変化に気づいてあげられるよう、少し気をつけながらスキンシップをすることが早期発見につながる。繰り返しになるが、1歳までに避妊手術をしていない場合は要注意だ。
そしてできものが見つかった場合はすぐに病院に行き、獣医師としっかり相談をしながら今後の治療方法ついて決めると良いだろう。