恥や屈辱で人は更生しない…日本の刑務所で始まった「劇的な変化」

映画『プリズン・サークル』が描く苦悩と再生

被害者が加害者になる「負の連鎖」を断つ

犯罪者は、言うまでもなく第一に「加害者」である。周囲に甚だしい迷惑をかけ、時には人命までも奪う。

だが、加害者の多くは「元被害者」でもある。親からの絶え間ない暴力や育児放棄、学校や児童養護施設での恐喝、暴行、傷害……。逃げ場のない被害者は孤立し、追い込まれ、その一部がやがて加害者となる。そしてまた、新たな被害や加害が繰り返されていく。

この深刻な負の連鎖と、これを断ち切ろうとする受刑者や支援者の姿を、坂上香監督の最新ドキュメンタリー映画『プリズン・サークル』は克明に描き出す。

舞台は官民共同運営の刑務所「島根あさひ社会復帰促進センター」(島根県浜田市)。「回復共同体」(TC)と呼ばれる教育プログラムに参加した受刑者に密着し、彼らの劇的な変化をありのままに映し出していく。犯罪者といえども、人間を一面だけで判断してはいけないことを、この映画は教えてくれる。

刑務所と6年がかりで交渉し、撮影に2年をかけ、法務省などの試写チェックも乗り越えてこの作品を世に出した坂上さんに、込めた思いを聞いた。

 

この映画の主な登場人物は4人。いずれも20代の受刑者で、それぞれが詐欺、強盗致傷、傷害致死、強盗傷人などの罪で服役している。

「本当は、同意を得られた受刑者の顔はボカシを外したかったんです。感情のない鉄仮面のような表情が、TCを重ねるうちにどんどん変わっていく。その変化を多くの人に見てもらいたかった。だから試写の段階になっても、刑務所や法務省とボカシを外す交渉をしました。もちろん、顔出しOKの受刑者だけです。でも、そこは頑なに拒否されましたね」

映画『プリズン・サークル』より(©︎2019 Kaori Sakagami)