賛否両論…岩田教授の告発騒動に見る、日本の深刻な「構造的問題」

私はあの行動を強く支持する
堀 有伸 プロフィール

私が問いたいこと

そもそも、日本における精神科医療が、不幸にして精神疾患に罹患した患者が社会でいきる状況を整えるよりも、民間病院中心の精神科病院に隔離してそこに入院させ、そこに配置する医師や看護師は一般病棟よりも少なくてよいという特例を設けてコストを削減することを許容し、患者を何十年も入院させることが日常的に行われてしまった経緯がある。

現状は以前と比べると相当に改善しているが、抜本的な対策がなされたかと問われれば、そこには疑問がある。

そのような経験を踏まえると、世間に向けての断固とした対応をアピールするために選ばれてしまった対象への処遇は、ぞんざいになりやすい。

そんな漠然とした不安を感じていたときに知ったのが、岩田氏の動画である。悪い予感が当たってしまったような印象だった。

 

現在SNS上では、岩田氏と、やはり感染症の専門家でダイヤモンド・プリンセス号内にいて職務として対応した高山義浩氏のやりとりなどを簡単に見ることが出来る状況である。

二人のやりとりをみて論評するような記事もみかけるが、私としてはそこがポイントではない、と主張したい。

どちらの専門家も、今の日本において貴重な戦力として活躍していただかなければ困るのである。十分な権限とスタッフが与えられて然るべき方々だ。

それなのに、不十分な状況での対応を強いられ、一方はその窮状を訴え、一方はそれへの反論を行い、お二人ともが本質的ではないところで消耗することを強いられてしまう。そのような状況を生み出したマネジメントを行っている側の方の問題を、私は問いたい。

他の船内で働いているスタッフの状況に同情し、そのスタッフに攻撃的な姿勢を示した岩田氏への反感が強いのは、判官贔屓の国である日本らしい。

しかし、そのような形でスタッフが窮状に陥らないようなロジスティックスを用意できていなかったことの方が問題として大きい。

外国籍の船であるために感染対策の指導が不十分にしか行えなかったという意見も散見するが、このような火急な状況でこそ先方の国に対してしっかりと交渉を行ってその点の調整を行い、現場の負担を減らすことこそが政治に求められる機能だろう。

不適切な感染症対策で外国籍の方から感染させられたと訴えられるような訴訟のリスクも考えねばならない。

そもそも、SARSやMERSが流行したときに、現在のように交通が発達して人の往来が激しくなった世界では、日本も感染症の脅威にさらされるリスクがあることをもっと早くに認識するべきだったのだろう。CDCを持つ他国をうらやましく思いつつ、不明を恥じる。