賛否両論…岩田教授の告発騒動に見る、日本の深刻な「構造的問題」

私はあの行動を強く支持する
堀 有伸 プロフィール

いい加減さをごまかすために…

今回のコロナウイルス感染症に対する水際対策はどうだっただろうか。

中国との関係を維持することの経済的利益を優先して、流行地から日本への人の渡航を禁止する措置が不十分だったのではないか。国内の対策を実施するに当たっても、十分な予算を確保した上で専門家の意見を十分に反映させたものではなかったのではないか。台湾や韓国、ベトナムなどと比較してそれが不十分だった印象は否めない。

私の個人的な経験としては、諸外国で実施されている内容と比べて日本国内での対応が「緩い」ものであることを認識しつつあったタイミングで、「ダイヤモンド・プリンセス号」の状況が情報として入ってくるようになってきた。

それまでの「緩さ」とは異なる「断固たる」措置であるかのようだった。若干の違和感とともに、嫌な記憶がよみがえってきた。

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日本社会の悪癖として私が認識していることの一つに、「全体に適切な対応をいきわたらせるコストを抑えていい加減な対応を行い、そのいい加減さをごまかすために、たまたま目立ってしまった対象には断固とした処置を行ってアピールする」傾向がある。

残念ながらこれは、私が専門とする日本の精神医療にかかわる中で強まった感覚だった。

たとえば、覚醒剤のような薬物依存症に対応できる医療機関や関連施設は十分に整備されていない。それを整備する経費を計上するよりも、目立つ覚醒剤患者に懲罰的な処遇を行い、それによる恐怖感を社会全体に行き渡らせて統制を保とうとする傾向を感じている。