賛否両論…岩田教授の告発騒動に見る、日本の深刻な「構造的問題」

私はあの行動を強く支持する
堀 有伸 プロフィール

自分の欠点を認めたがらない

典型的な事例として、2011年に起きた福島第一原子力事故と関連して、津波によって事故が起きる可能性が学会等によって指摘された時の東京電力の対応を挙げることができる。

国会事故調の報告書によれば、「学会等で津波に関する新しい知見が出された場合、本来ならば、リスクの発生可能性が高まったものと理解されるはずであるが、東電の場合は、リスクの発生可能性ではなく、リスクの経営に対する影響度が大きくなったものと理解されてきた。このことは、シビアアクシデントによって周辺住民の健康等に影響を与えること自体をリスクとして捉えるのではなく、対策を講じたり、既設炉を停止したり、訴訟上不利になったりすることをリスクとして捉えていたことを意味する」とある。

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このようにして「目の前の経済的利益と影響力・プライドの維持が最優先」された結果、原発事故の発生確率を高めてしまい、巨額の損失を自社と日本社会全体にもたらしたのであった。

本当に、日本社会はこの構造的問題による失敗を何回もくり返したし、現在もくり返している。

過去にさかのぼってその事例を探すことは容易であり、たとえば『失敗の本質』のような書籍では、太平洋戦争における日本軍の問題点が明確に指摘されている。

この点の克服こそが日本社会が取り組むべき優先的な課題であると私は考えるが、その点を認めることに日本人は強い抵抗を示す。

「自分の欠点を認めたがらないナルシシズム」がそこに働いていることを、力動的な心理学を学んだ者としては感じてしまう。