賛否両論…岩田教授の告発騒動に見る、日本の深刻な「構造的問題」

私はあの行動を強く支持する
堀 有伸 プロフィール

先に進む前に、岩田氏の言動はもちろん完全なものではなく、問題点もあったことを抑えておくことも必要だろう。

ダイヤモンド・プリンセス号の船内の実務に当たっているスタッフに、強い叱責を行うような姿勢は、決して望ましいものではなかった。

もちろん、スタッフの行動に不適切な点があったのだろうが、そこには社会構造に巻き込まれてやむを得ずにその場にいることになった専門外の人がにわかに行動を求められた結果として、寛容さが許容されるべき点があった。

私はもし責められるべき人がいるとすれば、それは現場で実務に携わっていた人々ではなく、そのような不十分な中での活動を現場に強いた現場のオペレーションのマネジメントを行った責任者だっただろうと考える。

 

「日本的ナルシシズム」については、何回か講談社現代ビジネスで論考を発表させていただいているし、二冊の著書『日本的ナルシシズムの罪』『荒野の精神医学』で説明した。しかし、やや抽象的な内容であるので、今回はその現われを次のように単純化して規定したい。

「目の前の経済的利益と影響力・プライドの維持が最優先され、将来を見た長期的な視点からの投資的行動が全くできなくなった支配層と、それとけじめなく心情的につながってしまっている被支配層の発想と行動の総体」

その結果として、科学者等からの実質のある助言が無視されることが頻繁に起きるようになる。

これは、科学的な対策を行うことのコストが敬遠されることと、「科学者」という政治・経済における支配層とは多くの場合に別であるカテゴリーの人物が影響力を持つことが嫌われることの2点が、その要因である。