「育休は休みじゃない」小泉発言が示した、日本政治のいびつな構造

「中高年男性」の考えに偏った議会
髙崎 順子 プロフィール

父親育児が「当たり前」になる第一歩

まずはポジティブな点から取り上げたい。それは、日本の空気が確かに変わった、という実感だ。

2016年秋、筆者は新書『フランスはどう少子化を克服したか』を上梓し、フランスで行われている2週間の「男の産休」制度を紹介した。子の誕生に際して父親が「産後の母親のサポート」と「育児のスタートアップ」に専念できるよう国が与える休業権で、その後の家族関係に良い影響を及ぼす、との政策検証もされている。刊行当時、これに対する日本の読者、特に行政関係者の反応は「いい制度だが、日本での即時実現は難しい」が主流だった。

 

しかし3年強の時を経た今、状況は大きく好転した。父親育休へのネガティブな声は依然あるが、前向きな言動が存在感を増している。小泉氏の育休に際して現役閣僚が「1ヶ月取得して欲しい」(武田良太行政改革相発言)と発言したり、地方公務員の父親育休推進を各都道府県に督促する書簡を送る(高市総務大臣)などの連動を見せた。

それ以前の2018年には超党派議員によるパパママ議員連盟が発足し、与党自民党内でも、父親育休取得を企業への義務化として提言する議員連盟が立ち上がった(2019年)。ファザーリング・ジャパンみらい子育てネットワーク(miraco)を始めとした、推進団体によるアクションも活発だ。

SNSでは小泉氏を応援する有権者主導の署名運動が起こり、父親育休に関する情報冊子を自治体で配布するためのクラウドファンディングなど、民間での新しい試みは続々と増えている。

父親育休には、広く多角的な意義が認められている。孤立する母親の産後うつやそこに起因する自殺の防止、乳幼児の虐待予防に加え、長期的に見てより良好な家族関係の基盤が作れるなど、一石二鳥以上の効果が見込める制度だ。小泉氏の行動をいちセレブのニュースや一過性のブームに終わらせず、官民連携した推進活動に繋げられれば、父親の育児参加は加速度的に普及し、近い将来「当たり前に取得できるもの」となるはずだ。

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