21日に公開となる映画『恐竜超伝説 劇場版 ダーウィンが来た!』は、羽毛に覆われ、背中に帆をもつ奇妙な姿の恐竜デイノケイルスのニコがメインの映画。デイノケイルスは昨年、国立科学博物館でおこなわれた恐竜博で、世界で初めて復元骨格が公開されて話題になった恐竜だ。映画では、そのデイノケイルスの求愛ダンスや産卵、肉食恐竜との戦いなど、驚くべき生態が描かれている。恐竜の恋愛・結婚・出産・子育てというわけだ。

そして、映画の公開と同時に発売されるのが、映画に登場する恐竜たちを収録した動く図鑑「MOVE」の最新刊『恐竜2 最新研究』だ。恐竜好きはもちろん、そうでない人にも「見たことのない恐竜の姿」に驚愕すること必至。自分は恐竜に興味はないけれど、恐竜大好きな子供と楽しみたいという親世代も楽しめるはずだ。映画と図鑑を監修した北海道大学の小林快次教授が出版情報誌「本」に寄せた原稿は、本作品の魅力を伝えている。その文章を特別掲載する。

映画『恐竜超伝説 劇場版 ダーウィンが来た!』と『動く図鑑MOVE 恐竜2』の監修をつとめた小林快次教授

子供のためのものではない

「図鑑は子供のもの」という考えは古い。恐竜の最新情報をいち早く取り入れた本は、図鑑であるといっても過言ではない。それは、恐竜研究の目覚ましい発展と、恐竜情報に貪欲な子供達の存在が背景にある。そして何よりも、図鑑は復元画が豊富に乗せられていることで、見たことのない世界を想像しやすい。専門用語を使わずとも、最新研究を表現できる。つまり、図鑑は「大人のため」といってもいい。

今回新しく出版された『恐竜2 最新研究』は、最新恐竜研究を4種類の恐竜を中心に紹介している。史上最強の恐竜「ティラノサウルス」魚を食べた巨大恐竜「スピノサウルス」摩訶不思議な巨大恐竜「デイノケイルス」、そして日本の恐竜の神「カムイサウルス」である。これらの恐竜をたくさんの角度からアプローチして最新情報を解説している。

こちらは映画『恐竜超伝説 劇場版ダーウィンが来た!』に登場するトロオドン (C)NHK
やはり映画に登場するモササウルス (C)NHK

ティラノサウルスは、世界で一番有名な恐竜だ。理由は、他の恐竜を圧倒する強さにある。巨大な体と鋭い歯。見た目から強いことは歴然としている。私たち研究者は、見た目だけではなく様々な視点からその「最強ぶり」を分析している。すると、ティラノサウルスは、「最強」であり「最恐」であることが浮き彫りになってきた。13メートルという巨体をいつでも俊敏に動けるように身体中に羽毛を生やし、暗闇でも獲物を見つけることができる鋭い嗅覚を持っていた。そして、捕らえた獲物を逃がすことなく骨ごと噛み砕き獲物を仕留める強靭な顎と歯。まさに殺戮マシーンである。

ティラノサウルス (C)NHK

このような最強・最恐の恐竜がどのようにして進化したのか。いきなり最強であった訳ではなかった。最初は体も小さく、他の巨大恐竜の影に隠れて生活していた。その中でティラノサウルスの祖先は、体を改良(進化)させていった。

ある日、ティラノサウルスの仲間を圧倒していた肉食恐竜が絶滅する。満を辞したティラノサウルスの祖先は、ここぞとばかりに巨大化し世界を支配する。恐竜の世界を支配したティラノサウルスの仲間たちは、極限の環境が広がる北極圏にまで生活圏を広げていった。