銀行が「販売手数料」を取れなくなる日

「金融サービス仲介業」の破壊力
橋本 卓典 プロフィール

できなければ撤退も選択肢

もちろん金融庁は、すべての金融機関に金融サービス仲介業に登録せよ、と考えているわけではない。

むしろ逆だ。登録せず、預かり資産ビジネスから撤退するということも立派な選択肢だろう。

広島市信用組合は、徹底したスピード融資が顧客から支持され、投信や保険商品を売らずとも利ざやを確保して、好業績をたたき出している。強みに特化することも経営の選択だ。

販売ではなく、仲介と助言に徹するには相応の経営体力が求められるかもしれない。特に第二地銀を中心とする金融機関は、預かり資産ビジネスからの撤退も視野に入れなければならないだろう。

ニッチな選択だが、経営改善支援、資金繰り改善支援に特化するほうが、生き残れる可能性がある。

かつての貸金業法改正が、消費者金融、ノンバンクの高収益ビジネスモデルを打ち砕いたように、金融においては、時として一つの法律や規制から時代や価値観を問い直すような変革を巻き起こすことがある。

後になって検証して初めてわかるのだろうが、今回の改正金融商品販売法は、そんなインパクトをもたらすかもしれない。これは必見である。

そして銀行業界はいつまでも金融規制改革の「被害者」を演じてばかりではいけない。顧客本位でありながら持続可能性もある収益モデルを構築するためには、どの規制をどのように変えて欲しいのかを積極的に金融庁との対話で発信すべきである。

橋本 卓典 (はしもと たくのり)  1975年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。2006年共同通信社入社。経済部記者として流通、証券、大手銀行、金融庁を担当。09年から2年間、広島支局に勤務。金融を軸足に幅広い経済ニュースを追う。15年から2度目の金融庁担当。16年から資産運用業界も担当し、金融を中心に取材。地銀業界中心に金融マンに衝撃を与え、将来の見通しを伝えた『捨てられる銀行』『捨てられる銀行2 非産運用』『捨てられる銀行3 未来の金融』(いずれも講談社現代新書)の『捨て銀』シリーズ(講談社現代新書)は累計27万部を突破。現在、『捨て銀シリーズ』第4弾を鋭意、取材&執筆中。乞うご期待‼