銀行が「販売手数料」を取れなくなる日

「金融サービス仲介業」の破壊力
橋本 卓典 プロフィール

「それでも買ってもらいなさい」

ある地銀では、毎月、融資先の企業に50万円ずつ投信を買ってもらっている。しかし、ある中小事業者は業況が芳しくなく、投信を買う余力がなくなってしまった。すると銀行の本部は「収益目標に達していないので、それ(業況不振)でも買ってもらいなさい」と、おかまいなしに現場にプレッシャーを強めているのだ。

心ある地銀関係者は、こう語る。

「こういう場合は、投信を買ってもらおうとするのではなく、また元気になって買っていただけるように、経営改善支援に入るのは先だと思うのです」

まったくその通りだ。ひとたび優先順位を誤ると人の動きや情報の流れは、壊滅的になってしまう。

筆者は最近知ったのだが、ある合併した地銀から預かり資産ビジネスに嫌気がさした大量の行員が転職活動をしているという。

合併で実質的に支配権を握った銀行が、組みしかれた側の銀行に対して「法人部門を強化する」と方針を示した。一時は「よし頑張ろう」と明るい雰囲気が広がったが、いざ始まってみると法人事業者に投信・保険をノルマで売りまくることが「強化」だったという笑えない話だ。絶望した銀行員は多数逃げ出している。

国民の資産形成が国家的な課題であるにもかかわらず、こうした銀行に金融商品を販売させること自体、何かが間違っていると認識を改める必要がある。