『8時だョ!全員集合』黄金期の裏番『キカイダー』の今なお残る鮮烈さ

ハワイに定期的にファンが集う
高堀 冬彦 プロフィール

良心回路のあるキカイダーはダークと袂を分かつ。そしてダークと戦う。人間の姿をしている時はジロー(伴大介、72)と呼ばれ、ダークとの戦闘時はキカイダーに姿を変えた。

ただし、良心回路は不完全だった。心を機械化するのは難しい。このため、プロフェッサー・ギルの笛の音を聞くと、良心とギルの指令の板ばさみになってしまった。頭痛に襲われ、苦悩し、のたうち回った。

笛はたぶん単なる土笛。今になって思うと、「なんで科学技術の粋を集めたロボットが、笛の音ごときに苦しむのか?」という疑問が沸く。だが、この辺が子供向け番組の妙味なのだろう。笛が鳴ると、子供たちはジローの身を案じる。手に汗を握る。弱いヒーローは話にならないが、弱点のないヒーローもつまらない。

キカイダー、ハワイ45周年記念イベントで現地ファンと交流する伴さん(伴大介公式ホームページより)
 

ジローのスタイルはイカしていた

同じ石ノ森作品ながら、ライダーよりややマイナー感のあるキカイダー。だが、ジローのスタイルはイカしていた。いつもギターを背負い、服装は上下ともデニム。1971年に始まった『TVジョッキー』(日本テレビ)が、番組の参加者にギターとジーンズを贈呈しており、それに視聴者が憧れていたころだ。ジローは流行の先端を突っ走っていた。

物語の結末はというと、キカイダーによってダークは壊滅する。そしてジローは生みの親である光明寺博士と再会。博士は日本を離れることになり、ジローに向かって「良心回路を完全にしてやれなかったことが心残り」と告げる。だが、ジローは「僕はこのままでいい。欠点の多い人造人間のままで。完全な機械にはなりたくありません」と応え、旅に出る。

午後8時台らしく、なんとも味わい深いラストだったが、これを小学校低学年以下が理解するのはちょっと難しいだろう。NETが午後7時台用の特撮ヒーロー番組とキカイダーを区別化していたのがうかがえる。