『8時だョ!全員集合』黄金期の裏番『キカイダー』の今なお残る鮮烈さ

ハワイに定期的にファンが集う
高堀 冬彦 プロフィール

暗黙の了解を破って

そんななか、他局も視聴者も驚いたのがNETの番組編成だ。今も昔も子供向け番組は午後7時台までというのが暗黙の了解だが、『人造人間キカイダー』と『デビルマン』を並べたのだのだから。野心的な戦略、いや、無謀とも思える作戦だった。

もっとも、NETは勝負を投げていたわけではない。当時は子供の数が圧倒的に多かった。全人口に占める子供の割合(15歳未満人口)は1971年が24.0%。一方、2018年はというと、12.3%に過ぎない。実に今の2倍近く子供がいた。勝算はあった。

 

両番組を振り返ってみたい。どちらも良く出来た番組で、決して子供だましの代物ではなかった。まず『人造人間キカイダー』は故・石ノ森章太郎さんが原作者。1971年に始まっていた同じNETの『仮面ライダー』と同じだ。制作は東映で、これも同じ。

だが、見た目はライダーとはまるで違った。頭の左上半分が透明で、中のパーツが丸見え。理科室にある人体模型を連想させ、斬新だった半面、ちょっとグロテスクでもあった。

巨匠と呼ばれた石ノ森さんの作品だけに、ストーリーも画期的だった。悪の秘密結社・ダークに拉致された正義の科学者・光明寺博士が、ロボットを作らされる。それがキカイダーだ。ダークの首謀者であるプロフェッサー・ギルはロボットによる世界征服を目論んでいた。

ロボットは人間の命令のままに動く。心がなく、善悪の判断が付かない。だから悪事にも使われてしまう。これを防ごうと、光明寺博士はキカイダーに「良心回路」を組み込む。まるで現代のAI時代の不安を予見したかのような内容だった。