「性被害に遭ったことはないけど
痴漢は山ほどある」?

性被害が公になにりくい背景には、「性被害への意識」の低さもあると、さいきさんは言います。

「2015年、ウートピで取ったアンケートについて、小川たまかさんが記事を書いていました。それによると、『あなたは性被害に遭ったことがありますか』という質問への回答に『いいえ』を選択した女性が、『痴漢には山ほど遭ってるけどね』とあった。痴漢は完全なる性犯罪で、痴漢にあうことは性被害です。でも、あまりに多すぎて『痴漢なら仕方がない』『混んでるんだから仕方がない』という空気がある。ハッとしました。ああ、私も麻痺していると。 

私も、中学生の時に学校帰りに露出狂に腕を掴まれて、むき出しの下半身を触らされたことがあります。衝撃で、これは何?と思っても、誰にも言えませんでした。言えるようになったのは昨年のことなんです。同じように、性被害に遭っても『自分が断れなかったから』『満員電車に乗ってしまったから』と自分を責めてしまう人は多くいます。被害を受けて年月が経ってから、抑うつや自傷行為、摂食障害などの症状が現れ、その治療のために診察を受けて初めて原因にたどりつく人がほとんどです」

体調不良で診察を受けて初めて原因がわかることが多い Photo by iStock

冒頭の筆者の体験に戻りましょう。件のジャーナリストと新入社員の私が、学校の教師と生徒だったら。「教師と寝ることでいい生徒になれるんだ」と言われていたら。そこで性的関係を持ったとしたら、それは「交際」なのでしょうか。

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さいきさんは言います。

「私が現実を伝えたいと強く思った理由。それは、性被害は人生を破壊するものだということ。そしてそれくらい重たいことにもかかわらず、そのことが知られていなさすぎるからなんです」

誰にも言うことができず傷ついている人もいる。被害者は女性に限ったこととも言い切れないだろう。学校が安心安全な場所でなければならないこと、教師が生徒を性的対象として見ることは異常なことであり、たとえ行為を生徒から寄せられても、それは暴力になるなのだと認識することが、大切なのではないだろうか Photo by iStock

インタビュー・文/FRaU Web編集長 新町真弓