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映画『パラサイト』成功の裏側、韓国の「文化輸出」への思いと戦略

「韓国を世界に認識してほしい」

映画『パラサイト 半地下の家族』が米アカデミー賞を受賞した。同作の成功に象徴されるように、韓国のコンテンツ輸出は大いに成果をあげているように見えるが、その裏側にはどんな思いや戦略があるのか。『反日韓国という幻想 誤解だらけの日韓関係』(毎日新聞出版)を上梓した澤田克己氏がレポートする。

『パラサイト』のポン・ジュノ監督〔PHOTO〕Gettyimages

「韓国という国がここにあることを世界に認識してもらいたい」

米アカデミー賞で韓国映画『パラサイト 半地下の家族』が、非英語作品では初の作品賞など最多の4冠に輝いた。昨年のカンヌ映画祭でのパルムドール(最高賞)受賞につづく韓国映画初の快挙を見て思い出したのは、8年前に韓国外交通商省(現外務省)幹部から聞いた言葉だった。

韓流コンテンツの世界市場での躍進の陰には韓国政府の強い後押しがあるとも言われるが、その背景にある「思い」が冒頭の言葉に示されているように見える。そして韓国のコンテンツ輸出は右肩上がりで伸びてきており、ドラマやK-POPは既に民間ビジネスだけで隆盛を見せるようになった。

以下では、韓国が文化輸出にかける「思い」とその背景、そしてその「手法」をひもとこう。いま韓国政府が支援の重点としているのは、ドラマや映画の「種」なのだという。

 

「独自文化を持つ韓国を認識してほしい」

「韓国の存在を認識してもらいたい」という思いを聞いたのは、同省文化外交局(現在は公共文化外交局)の金東起(キム・ドンギ)審議官を2012年にインタビューした時のことだった。

私は1990年代後半に東南アジアや中国で韓流ドラマのブームが始まったことや、金大中政権(1998〜2003年)が文化輸出を重視する政策を取ったことを念頭に置いて、「韓国はいつから文化外交を重視するようになったのか」と聞いた。すると「1948年に韓国政府ができて以来だ」という予想外の答が返ってきたのだ。