「ペイペイの毒」に潰されたキャッシュレス企業…その残酷すぎる末路

「オリガミ身売り騒動」が意味するもの
岩田 昭男 プロフィール

業界を侵す「ペイペイの毒」

筆者は、LINE Pay(ラインペイ)のケースを身近に見ていた。LINEペイは収益モデルが異なるので、ペイペイの真似などしなくてもいいと思っていたが、キャンペーンの現場に取材に行くと事情は全く違っていた。

LINEの担当者は「ペイペイさんには絶対負けられない。負けないためにはまずキャンペーンが必要。しかも、連続してやらなければ勝てない」と力説していたのだ。

たしかにペイペイは1回で終わることなく、耳目を集める大型キャンペーンを続けて行っていた。それに対抗するため、当時のLINEの合言葉は、「走りながら考える」というものだった。そしてとうとう『300億円送っちゃうキャンペーン』を行うことになってしまったのである。

少しどぎつい表現をすれば、あの頃からすでに「ペイペイの毒」が回っていたのだ。それくらい異常だった。

結局、20%還元がいわば“業界標準”になったわけだが、いまは還元額の上限が1000円になって、それほど大きな痛手とまではなくなっている。それでも還元のための原資が必要には変わりない。

 

そもそも、クレジットカード業界の還元率は0.5〜1%が標準で、通常のカード利用で還元できるのはそれくらいが限度なのだ。加盟店の手数料による収益が決まっていて、それ以上のものは出せないし、無理にそれ以上のものを出せば、自ずと破綻することが分かっている。

要するに、ペイペイの登場によって、これまでクレジットカード業界が築き上げてきたキャッシュレス決済の常識が、大きく歪められる事態になったと言えるのだ。