新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の蔓延は未だ収束の気配が見えず、世界中で不安が広まっている。日本は今のところ世界で第3位の感染国であり、クルーズ船の感染者を含むとはるかに多い感染者が生まれ続けている。
感染が広まるにつれ、日本のあちこちから感染者の報告があり、さらには感染ルートが明らかではない感染者が出現するなど、それが一層人々の不安を掻き立てている。
一方、厚生労働省や感染症の専門家は、このウィルスの感染力はSARSやインフルエンザよりも弱いこと、致死率も各段に低く、むしろ通常の上気道炎(風邪)と同じような経過をたどるケースが多いことを繰り返し説明している。
しかし、人々がそれを聞いて安心しているかというとそうではない。マスクは店頭から姿を消し、神戸では病院から大量のマスクが盗まれるという被害さえ生じている。そして、マスクの品薄に乗じて、ネット上で高額で転売する人々も後を絶たない。
このような状況を見るにつけ、ウィルスによる感染症よりも、不安やパニックへの「感染」がより一層広がっており、こちらのほうがもっと危険ではないかと思えるほどだ。
たしかに得体の知れない新型ウィルスは不気味ではあるが、専門家の情報にもかかわらず、なぜ人々はこんなにも不安になっているのか。