新型コロナウイルスで「黄色人種警報」を信じた人々の「差別の深層」

差別と偏見を駆動する「嫌悪感」の正体
Ore Chang プロフィール

筆者は、事象の〈なぜ〉を解明・理解することが問題解決の道筋だと考えていると述べたが、現段階では残念ながら、まだ有効な解決策を提案できそうにはない。

しかし、進化心理学は、異なる人種に対する差別や偏見が生じる「理由」を教えてくれるとともに、その残酷さや不合理さをわれわれに知らしめてくれる。少なくとも、公衆衛生が広く浸透し、危険な伝染病の多くが医学の発達によって撲滅されつつある現代では、根拠なく異邦人を恐れる理由など無い。

もちろん、新型コロナウイルスという新たな脅威が出現している現在においては、このような主張が虚しく響くかもしれないことはわかっている。しかし、恐れるならば正しく恐れるべきである。我々は石器時代から進化していない自らの脳を、知識によって調教すべきなのだ。

 

人種差別や偏見は断じて許されない。「感染者を隔離せよ」という響きには、我々が太古から受け継いできた“ただしさの感覚”が伴っているかもしれないが、それは簡単に「異邦人は隔離せよ」へと拡大されてしまいうる。現にいま、そのような動きが出てもいる。

時計の針を太古の昔に戻してはならない。

*1 Schaller & Park (2011)
*2 Diamond (1997)
*3 Fincher, Thornhill, Murray & Schaller (2008) / Fincher & Thornhill (2008)
*4 Nettle (1999) / Nettle & Dunbar (1997)
*5 Dunbar (1996)
*6 Greene (2013)
*7 Faulkner, Schaller, Park, & Duncan (2004) /Navarrete & Fessler (2006)。
*8 Haidt (2012)
*9 Pinker (2011)

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