新型コロナウイルスで「黄色人種警報」を信じた人々の「差別の深層」

差別と偏見を駆動する「嫌悪感」の正体
Ore Chang プロフィール

「よそ者」を嫌うメカニズム

われわれ人類が進化させた“部族主義”の副産物に、「自分たちと同じ部族ではない人間をコミュニティやソサエティから排除しよう」という心のはたらきがある。

道徳心(モラル)は、人類が集団内で互恵的に利益を得られるような協力体制を築くことを可能にするよう進化した。しかしその副作用として“外敵”や“悪”といった存在・認識を生み出す。*6

悪人や犯罪者、見ず知らずの者や多くの人から避けられているような者を含め、あらゆるすべての人間と全く無差別に協力するような心理プログラムは、自然選択による進化的優位性を保てない。道徳が出現するためには、悲しいことに、「道徳が適用されない者」の存在が不可欠だった

内集団/外集団バイアスや「Us vs. them」(われわれとやつら) といった認識のフレームがわれわれ人類に進化的に生じた背景には、さまざまな生物学的要因があるが、疾病回避と行動免疫システムはそれにとりわけ深く関与していることが示唆されている。

 

一般的に多くの人は、それを口に出すかどうかは別にして、外国人に対する偏見を多かれ少なかれ抱いている。外国人嫌悪と偏見のむすびつきは、すでに多くの研究で確かめられている事実だ。*7

嫌悪感(“キモい”)という感情の背景には、新奇性恐怖(ネオフォビア)や奇妙な振る舞い(ストレンジビヘイビア)に対するおそれが存在する。異なる見た目・異なる言葉・異なる習俗をもっている外国人は、人間が嫌悪感を発動させる絶好のキュー(情動反応のトリガー)となる。

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