なぜ私たちは、こんなにも
がんが怖いんだろう?

「生涯がんにかかる人は2人に1人」と分かっていても、「もしがんを宣告されたら、怖くて自分がどうなってしまうかわからない」、「検診で再検査になったとき、不安で眠れなかった」といった声もよく聞く。

実際に、国立がん研究センター がん対策情報センター長の若尾文彦医師によれば、がんで亡くなった方の数で女性の1位、男性の3位、がんと診断された方の数で男女合計1位の大腸がんで、大腸がん検診の結果、要精密検査になった人のうち精密検査を受けたのは68.5%(2016年)だった。

つまり、3割以上の人が精密検査を受けなかったということだ。多忙などの理由もあるが、恐怖心で詳しい検査から逃げてしまうケースも多いというのだ。がん検診は早くがんを見つけ、早く治療することで死亡率を減らすことが目的なのだから、要精密検査になったら精密検査を受けるまでががん検診なのに……。もしもがんがあって、放置すれば進行してしまうというのに……。

いくらがんは治療で治る人が増えているといわれても、自分や家族が確実に治る保証はどこにもないため、「がん=死」の構図は私たちの脳裏から消えず、他人ごとと思いたくなる。がんの苦しみは、身体的な苦痛よりもむしろ、心を占める恐怖や不安のほうが大きいのかもしれない。ドラマ『アライブ・がん専門医のカルテ』でも、そんながん患者の動揺や苦悩といった心の動きも丁寧に描かれている。

患者の心の動きもドラマでは丁寧に描かれる。写真/フジテレビ

そこで今回は、ドラマの企画協力医でもあり、日ごろから診療現場で患者や家族の心の内を聞いている日本大学付属武蔵小杉病院の腫瘍内科医・勝俣範之医師と、がん患者やその家族の心を診る専門家である国立がん研究センターの精神腫瘍科 清水研医師に話を聞いた。