こじはる絶好調、水嶋ヒロは大苦戦?「芸能人ビジネス」の新潮流

なぜ「D2C」に参入するのか?
竹内 謙礼 プロフィール

例えば、元AKBの篠田麻里子がプロデュースしたブランド「ricori」は、1年半で4店舗出店したものの2014年には全店閉店。運営会社が自己破産してしまった。商品のターゲティングや価格帯にズレがあったことが要因と言われているが、篠田麻里子自身のメディアへの露出が減ってしまったことも、少なからず経営に影響を与えたのかもしれない。

同じ元AKBの川崎希もその辺は心得ているのだろう。話題に事欠かないように夫のアレクに高級車を買ってあげたり、アレク自身が浮気しそうなネタをSNSに投稿してネットニュースをざわつかせたりするのも、本業のビジネスの認知度を下げさせないための営業努力と思えるところもある。

しかし、プライベートの切り売りは本人たちも大変だし、なにより消費者の飽きも早い。遅かれ早かれ手詰まりになってしまう可能性はあるといえる。

ファンとの距離感が変わった

今までは「有名人=有名だから売れる」という簡単なロジックで芸能人のビジネスモデルは組み立てられてきた。しかし“有名”という付加価値がいつまでも続くわけもなく、芸能人は商売の世界で使い捨てのコンテンツとして扱われてきたところがある。

しかし、SNSの普及によって、その状況は一変した。芸能人が一般の人と簡単に繋がることができる時代になり、自分の「思い」を自由にTwitterやインスタで発信できるようになった。そのため、数年前の芸能人よりも、今の芸能人のほうが消費者との距離がグッと近くなったといえる。

その距離感をうまく利用したのが小嶋陽菜のD2Cである。彼女は女性ファンを味方につけるファッションモデル業にシフトして、インスタなどでマメに情報を発信することでファンを囲い込んでいった。そんな彼女がダイレクトに思いを込めたメッセージとともに、ネットショップで商品を販売するのだから、取り扱う商品が売れないわけがない。

 

つまり、ファンに向けての情報発信がうまい芸能人にとって、D2Cは無敵のビジネスモデルなのである。広告費もかからないし、他社と比べられることもないので価格競争にも巻き込まれない。利益率の高いビジネスが展開できるので、その利益を再びファンに還元して、より顧客満足度の高い商品やサービスを提供することができる。

名前を貸すだけの芸能人に比べてリスクも低く、メディアの露出が減ってもSNSでファンを囲い込んでおけば安定した売上を確保することができる。メディアの露出度に売上が比例されることもないので、無理をしてネットニュースに夫婦の痴話げんかを投稿したり、暴言を吐いて炎上させたりして注目を集める必要もない。