ヨーロッパでも、EUの機関として2005年に設立されており(ヨーロッパのCDCは、感染症の調査や解析を行っているが、対応は基本的に各国に任されている)、中国や韓国にもCDCは存在する。日本では、厚生労働省と国立感染症研究所がCDCに相当する業務を行っているが、独立性が十分ではなく、組織化されているとは言いがたい。

「自治体や省庁においても、専門家とは言えない人々が対応する仕組みになっているので、バックグラウンドへの洞察が足りず、継続的な政策をするのは困難です。

今後の対応としては、国内でも武漢のような局所的大流行が起こったときに、都市を遮断するのかを決定する覚悟が必要でしょう。オリンピックをどうするか、学校やビジネスをどうするかもあわせて考えていく必要があります」(岩田教授)

〔PHOTO〕Getty Images

「クルーズ船はCOVID-19製造機」

また、岩田教授は2月18日に二次感染が疑われるクルーズ船に実際に乗船しており、その内部の惨状についてYouTubeで、もはや「COVID-19(新型コロナウイルス)製造機」であると指摘している。

※ 岩田教授は2月20日朝に同動画を削除。削除の理由について、見解に誤りがあったわけでも、誰かからの圧力があったわけでもなく、これ以上、特定の個人や組織を非難していると誤解されることを避けるためであると、2月20日に開かれた日本外国特派員協会主催の記者会見で述べている。〔2月20日加筆〕

本来、ウイルスがある危険なレッドゾーンとそうでないグリーンゾーンに区分けして、レッドゾーン内でのみ防護服やマスクに身を包むべきところ、それがぐちゃぐちゃになっており、どこにウイルスがあるのか、どこが危険でどこか安全なのかがまったくわからず、いつ誰が感染してもおかしくない状態になっていた、という。

岩田先生は、「この仕事を20年以上やってきて、エボラ出血熱やSARSなどいろいろな現場に立ち向かってきたが、自分が感染症にかかる恐怖を感じことがなかった。でも、クルーズ船は悲惨な状態で、心の底から怖いと感じた」と動画内で語っている。

また、現場に常駐している感染症対策の専門家が一人もおらず、たまに訪れる専門家がアドバイスしようとしても、厚生労働省の官僚がそれを聞き入れない状況にあるという。

こうした対応の不備を見ても、日本において感染症の専門機関の設立や組織的対応の充実が急務である。

クルーズ船の乗客は陰性だった人から2月19日から21日頃にかけて順次下船し、陽性で症状のない人は愛知県岡崎市にある藤田保健衛生大学の未開院の病院で経過観察がなされる運びになっている。下船した乗客からの二次感染が起こらないよう、一刻も早く対策を講じる必要がある。